「ユーザーに満足していただける台数を早急に配置していきたいと考えています。電車から降りた人全員が『近場だから歩くか、もしくは少し遠いからLUUPを使うか』、と考えるようになるのがLuupの狙いです。そうなった際の規模感を考えると、街全体で数百台の自転車を置くべきだと考えます」(岡井氏)

今秋には公道での電動キックボードの実証実験を予定

ENEOSや大林組との協業が発表されたものの、Luupが第一に目指すのは電動キックボードの公道走行を可能にするための規制緩和だ。緩和へ向けた進捗状況について、岡井氏は、電動キックボード・シェアは日本政府からも英国と同様に「非三密で社会的距離を保てる移動手段」として評価されており、追い風を受けている状態だと話す。

6月に開催された自由民主党のMaaS議員連盟による「マイクロモビリティプロジェクトチーム」では、電動キックボードの普及に向けた規制の緩和などについての提言案が議論され、最終的には座長一任で取りまとめられることとなった。

提言案には以下のように書かれていた。

「日本では、電動キックボードが、道路交通法及び道路運送車両法において『原動機付自転車』と位置付けられるため、道路運送車両法に基づく保安基準を満たした上で、道路交通法上、運転免許証を携帯し、かつ、ヘルメットを着用する場合に限り、公道走行が認められることとなっており、また、走行箇所も車道に限定されている」

 

「こうした現行規制が新たな交通手段にそぐわないものとなり、電動キックボードのようなこれからのモビリティの普及を妨げているような場合は、安全性と利便性のバランスを十分考慮した上で、規制を緩和することが必要である」

提言では、2020年秋頃より電動キックボード事業者が自転車レーンを含めた公道で実証実験を実施できるよう、関係省庁に要望している。Luupを含む電動キックボードの各事業者は、政府の「新事業特例制度」を利用した実証実験が実施できることを期待している。場所・期間共に未定の状態だが、Luupでは公道での実証実験を行う際には既存のシェアサイクルサービスとは別軸で行うことを想定している。