ペロリへの出向で見つけた、自分のやりたいこと

入社後、山本氏が配属されたのは無料通話アプリ「comm(コム)」の開発チーム。このアプリはDeNAが“LINEの対抗馬”として、2012年12月に立ち上げた新規事業。当時、社内のエースを70人ほど集めて開発に臨むなど肝いりのプロジェクトで、山本氏は企画のほか、UX(ユーザー・エクスペリエンス)デザインを担当していた。

その後、ゲーム事業部に異動し、複数のゲームのUI(ユーザー・インターフェース)デザインを担当するなど、デザイナーとしてのキャリアを歩んでいく。そんな山本氏の転機のひとつとなったのが、ペロリへの出向だ。

2014年にDeNAは女性向けキュレーションメディア「MERY」を手掛けるペロリを買収する。そのタイミングで、当時の上司から「ペロリはデザイナーを必要としているみたいだから、行ってきてくれないか?」と出向の打診をされ、山本氏は2015年に出向。ペロリではアプリをつくったり、CI(コーポレート・アイデンティティ)デザインを刷新したり、他にはCM制作やイベントプロデュースも担当したという。

「役職関係なく、とにかく何でもやっていました(笑)。MERYが成長するにつれて新たにブランディング室ができ、印刷物やステーショナリーグッズなど、MERYを中心にペロリのさまざまなクリエイティブのトーン&マナーの管理を担当するようになりました。そこでPRやブランディングを経験し、プロモーションの観点からいかにサービスを広めていくか、が好きなんだなと思いました」(山本氏)

当時、雑誌なども販売していたMERYだが、2016年12月に医療・ヘルスケア情報のキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」の制作体制や情報の信憑性が問題視されたことを契機に、DeNAが運営するすべてのキュレーションメディアを非公開化する、いわゆる「WELQ騒動」によって、メディアがクローズ。それに伴い、山本氏はDeNAに帰任した。

次の異動先としてソーシャルゲーム、横浜DeNAベイスターズ、オートモーティブ、ヘルスケアなど、さまざまな選択肢があった中、山本氏は「そのときはエンタメと言いうか、人の熱狂や興奮が自分のモチベーションになると思っていました」と言い、ソーシャルゲームのブランディング・コミュニティ施策を担当後、間もなくして独立する。

「PR・ブランディングを含めて、もっといろんなエンタメをつくってみたいと思うようになり、独立する道を選ぶことにしました。独立した後は、いろんなPR・ブランディング案件を手がけていきました」(山本氏)