ユーザベースでも会社を回していく上で組織情報の整理を行っていたものの、効率的に内部統制を進めていくという観点では改善の余地があった。そのため竹内氏は当初、あくまで“社内用のシステム”としてYESODのような仕組みを開発しようと考えていたという。

ただ他の会社も同じ悩みを抱えていることや、ちゃんとやれば1つのプロダクトとしても十分スケールするイメージを持てたこともあり、最終的に会社を立ち上げ「さまざまな企業が使えるSaaSを作る」という道を選んだ。

「アカウントの発行だけでなく、誰がどのSaaSを使えているのかを調べる棚卸業務がかなり大変なんです。僕自身もそこに時間がかかっていたし、一緒にやっていた担当者が1週間くらいかけて情報を整理することもあった。こういった業務はエンジニアが担当することが多く、少しでもシステムに任せられたらいいのにと感じていました。システムは基本的に間違いがないのでヒューマンエラーが起こることもありませんし、エンジニアが本来やるべきプロダクト開発に集中できるような環境を作りたいという思いもあります」(竹内氏)

YESODの方向性。ゆくゆくは内部統制や監査の課題を解決する仕組みも作っていく計画だという

組織図や内部統制の課題を特に意識し始めるのは上場前後であり、実際に十数人規模から数百人のフェーズを自ら経験した人間でなければ、現場の悩みを想像したり、それを解消するためのプロダクトを設計することは難しい。だからこそ竹内氏の中では「自分ならこの領域で正しいシステムを作れるのではないか」という考えもあったそうだ。

今後は調達した資金も活用しながらエンジニアやビジネスサイドの人材採用を進め、プロダクトの開発・導入を加速させていく計画。上述したように正確な人事・組織情報が整理されればSaaSの管理以外にも役立てられるため、ゆくゆくは内部統制や監査の課題を解決する仕組みも取り入れていきたいという。