もしウェブ会議で試したければ、動かしたい素材を選択した状態でZoomやGoogle Meetなどのビデオチャットツールを開き、カメラの設定をxpression cameraに変更すれば準備完了だ。
あとはカメラに向かって普段通り会話をすれば、自分の表情などに合わせて素材の中の人がリアルタイムで動く。
「xpression cameraを使えば若い頃の自分の写真を動かしたり、服装を変える感覚で別の人にもなりきれる。自分の体の制約から解放されるので、ファッションの概念自体を変えていくこともできると考えています」(開発元のEmbodyMeで代表取締役を務める吉田一星氏)
xpression cameraはライブストリーミング配信やYoutubeの動画作成など幅広いシーンでも使えるが、もっともわかりやすいユースケースはやはりリモートワーク中のウェブ会議だろう。
特に新型コロナウイルスの影響で普段の業務においてビデオチャットツールを使う機会が増えた人も多いはずだ。その流れが広がるとともに「Zoom疲れ」のような新しい言葉も生まれた。
ずっと自分の顔を表示していることに抵抗がある、散らかった部屋や洗濯物を見られたくない、わざわざ化粧をしたくないといった理由からカメラをオフにする人もいるが、それでは自分は良くても相手が会話をしにくくなるといったデメリットもある。
そのようなシーンでxpression cameraを用いることで「自分の顔を隠しながらも(素材の顔を通して)表情をちゃんと伝えられるので、安心してコミュニケーションができます」と吉田氏は話す。
同社では本日よりxpression cameraのMac版の受付をスタートしていて、登録したユーザーに順次無料で配信する計画。Windows版についても近日中に公開予定とのことだ。
ちなみに僕自身も一足先にテスト版を試してみたのだけれど、流石に初対面の人とのウェブ会議やオンライン取材などでいきなりこのアプリを使うほどの勇気はなかった。一方で普段から一緒に仕事をしているメンバーとのカジュアルな会議やZoom飲みなどのシーンではすぐにでも使えそうだ。Zoom飲みなどの際にみんなで使ってみると、ちょっとした話のネタにもなるかもしれない。
ヤフー出身エンジニアが創業、ウリはAIを用いた映像生成技術
EmbodyMeはヤフー出身の吉田氏が2016年に立ち上げたスタートアップだ。吉田氏はヤフー在籍時からスマホのインカメラを使ってキャラクターや他の人物になりきれる「怪人百面相」や、自分の分身となるアバターを生成し動かせる「なりきろいど」など、表情認識に関連する新しい技術をいちはやくプロダクトに落とし込んできた。