1.値段が高い
2.VRデバイスをPCにセッティングすることが手間
3.PCとVRデバイスのケーブルを接続した状態でプレイする煩わさしさ

2016年頃に販売されたOculus Riftや、HTC VIVEといったVRデバイスは、PCに接続して利用するのが大前提となっていた。しかも、VRを表示するためには、これまで以上にマシンパワーを必要とするため、性能の高いビデオカードを搭載しなければならない結果的にハードを1セット揃えるのに30万円近い初期投資が求められたのだ。

さらに、PCでVRデバイスをセッティングするためには、それなりの専門知識が必要になるなど、PCに詳しくないユーザーが手を出すにはハードルが高すぎた。誰もが簡単にVRデバイスが使える、というわけはいかなかったのだ。

そして設定が完了しても、常にPCにつながっているケーブルで遊ぶのでは動く範囲が限られてしまう。ケーブルが自分の身体に引っかからないか気を配って遊ばなければならない煩わしさがあった。

そのため、VRは一部のユーザーには熱狂的には受け入れられたものの、これらの問題は普及の上では大きな障害となり続けていた。

初代が抱える課題を克服した画期的なVRデバイス

これらの状況を変えたのが、2019年5月に発売が始まったOculus Questだ。Oculus Questは一体型VRデバイスで、ケーブルレスでVRを楽しめる画期的なハード端末だったが発売当初から弱点を抱えていた。

搭載されているチップはスマートフォンのものを流用。これは価格を抑えるためと思われるが、発売時点で最新のものに比べて2世代ぐらい前のものを採用していた。そのため、映像表現の能力はPCと比べるとかなり物足りない。

VRデバイスとしては、簡便に付け外しを可能にするなど完成形の形を示したものの、デバイスの能力では、物足りない部分をいくつも持っていたのだ。399ドル(日本円で約43800円)という手に取りやすい戦略的な価格設定により、調査会社のSuperData社によれば、2019年に約70万台を売ったと推測されているものの、まだまだ爆発的な普及とまでは至っていなかった。

今回新たに発売されたOculus Quest 2は初代Oculus Questが抱えていた弱点の大半が見事なまでに克服されている。現時点で一体型VRデバイスとしては考えられる限りの高度な性能を持っている。

画像提供:Facebook Reality Labs

Oculus Quest 2は最新のスマートフォンに使われているチップを採用。VRの没入度を左右する液晶の解像度はOculus Questに比べて1.27倍も広く、現在発売されているVRデバイスの中でも最大クラスだ。液晶の密度が増すことによって、一つひとつの液晶の小さな粒が見えてしまうスクリーンドア効果をほとんど潰すことに成功している。