とはいえ、ドイツはガンガン行って、ガンガン気持ちを出すプレーが好かれるので、一応、最初のうちはチーム内でも多少の演技はしましたよ。でも、最後はやっぱりピッチで結果を出すことが大事です。

批判に対して、謙虚である必要はない

――この番組でのMC挑戦、それから解説という仕事も増えていきそうですね。

もっと勉強しないといけないなと思いますね。僕は現役の時、ほとんどサッカー見てこなかったし、サッカーゲームもやりません。

仕事でサッカーをやっているのに、なんでプライベートでもサッカーに時間を割かないといけないないんだろう、って思うタイプでした。

解説で大事にしているのは、自分がプレーしていた時の目線で語ることです。ピッチで何を考えながらプレーをしているのかを伝えていきたいです。

――解説やメディアの言葉はどう受け止めていましたか。時に辛辣な批判もあったと思いますが……。

現役時代も批判されたことはありましたが、実際にプレーしていない人から言われても何にも気にしなかったですね。「じゃあ、俺よりうまいサイドバックを連れてきてほしい。本当に日本にいるなら連れてきて、見せてくれ」と思っておしまいです。

僕は批判に対して、むやみに謙虚である必要ないという考えです。批判に弱ってしまうタイプの選手もいますが、変に聞きすぎる必要はないと思ってきました。

批判が当たっていたら、それはそれで次につなげればいいですし、言われなくなったら選手としては終わりだな、くらいの受け止めでしたね。

自分が解説にまわったとき、例えば知っている若手に多少厳しいことは言うかもしれませんが、そのくらいの批判でダメになるようではどこにいってもダメでしょう。

世界と比較するのではなく“日本らしさ“を考えるべき

――Jリーグのサポーターに求めたいことはありますか?

もうこのままでいいですね。もっとJリーグを見てほしいです。家族みんなで安全なスタジアムで観戦できて、技術的にも優れているリーグだと思います。

日本サッカー全体で言えば、かつて日本代表の監督を務めたイビチャ・オシムさんが言っていたように「日本らしさ」とは何か、という問題を考えるというのは必要なことだと考えています。

W杯でドイツが優勝したらドイツを真似するの? スペインが優勝したからパス回しを大事にする、でいいのか? ということですね。190センチ以上の大型FW、DFもなかなか望めないし、メッシみたいな選手もいないんですから。

内田篤人が歩む“第二の人生”、現役引退後に考える「日本サッカー界への提言」
 

いま、日本サッカーはランクを上げてきて、かなり良いところまで来ていると思います。ここまでサッカーが盛り上がってきたのもすごいことですし、Jリーグもかなりレベルは上がっています。でも、ここからさらに世界のトップ5を目指す、世界の中心に追いつくためには時間がかかります。