• 地球周回軌道において小型キセノンイオンスラスタの世界初実証(2014年9月)
  • 深宇宙に置いてキセノン統合型スラスタの世界初実証(2014年12月)
  • 世界初の水レジストジェット搭載ISS放出衛星の実現打上/放出(2019年11月)
  • 水統合式スラスタがJAXAの宇宙実証プログラムに採択。2022年に宇宙実証予定(2020年5月)
Pale Blueの主な実績
Pale Blueの主な実績

大学の研究シーズを社会実装できる仕組みを作る

「研究と実利用のギャップを埋めたいと考えたのが最初のモチベーションです」——浅川氏は起業という選択肢を選んだ理由についてそのように語る。

「研究者として研究に取り組む中で『研究』と『実利用』の間に大きなギャップがあることを痛感しました。小型スラスタの研究対象となるのは、プラズマ生成部や加速部など、推進機の中のほんの小さな部分だけ。でも実利用する場合を考えると制御装置や電源装置など、それ以外の周辺機器の完成度を高めることが重要です。研究の世界から一歩踏み出して会社を作ることで、周辺機器の開発にも取り組みながら、研究の成果を社会実装していきたいと考えました」(浅川氏)

研究内容をプロダクトに落とし込み、実用化に繋げる。その上できちんと収益化し、得られた収益を再び研究や研究人材の育成に分配する。Pale Blueではそのようなサイクルを構築していきたいという。

その考えは同社の事業スキームからもよくわかる。小泉研の基礎研究を社会に実装していくのがPale Blueの役割。特許を利用する代わりにPale Blueからは新株予約権を付与し、収益をアカデミアに還元することを目指す。

Pale Blueの事業スキーム。アカデミアと“役割分担”をする形で、基礎研究の社会実装を目指す
Pale Blueの事業スキーム。アカデミアと“役割分担”をする形で、基礎研究の社会実装を目指す

Pale Blueにとっては、自社のエンジンがさまざまな小型衛星に標準的に搭載されるような世界を実現することで小型衛星の可能性を拡張し、この市場をさらに広げていくことが大きな目標だ。

今回の資金調達はそのためのマイルストーンを達成するために、組織体制を強化することが大きな目的。当面は水プラズマ式推進機の宇宙実証に向けて研究開発を進めていくという。