確認したいのは「自転車と電動キックボードの安全性における相違点」

今回の実証実験の特徴は、電動キックボードが自転車専用通行帯(自転車レーン)を走行することにある。電動キックボードは現行法上では原動機付自転車として扱われるため、公道で走行するにはウィンカーなど国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動機付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。

加えて、電動キックボードは自転車専用通行帯ではなく、車道を走らなくてはならない。しかし車と並走するのは危険なため、電動キックボードのシェアリングサービスを展開する事業者は、政府の「新事業特例制度」を利用し、自転車専用通行帯での走行による実証実験を行うに至った。

Luup代表取締役の岡井大輝氏は以前、DIAMOND SIGNALの取材において、今回の実証実験で確認したいのは「自転車と電動キックボードの安全性における相違点」だと説明していた。ヘルメットの着用や原付免許保有の必要性に関しては、今後の実証実験で検証していくという。

苦戦する電動キックボード海外勢、撤退済み企業も

国内の電動キックボード事業者が公道での実証実験を開始し、サービスインに向けて進み続けている一方で、鳴り物入りで参入してきた海外事業者はコロナ禍もあって苦戦している状況だ。

ドイツ・ベルリンに本社を置き、世界の約30都市で電動キックボードのシェアリングサービスを展開するWind Mobilityの日本法人、Wind Mobility Japanは5月31日、株主総会の決議により解散した。

Wind Mobility Japanは2018年4月の設立。2019年7月より千葉県・千葉市で、千葉市と共同で電動キックボードのシェアリングサービスの実証実験を実施していた。だが、2020年4月末にサービスの運用を終了。電動キックボードの販売も、4月3日に事前予約の受付を開始したが、「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、車体用意の見通しがつかなかった」ことから販売を中止している。

DIAMOND SIGNALではWind Mobilityのベルリン本社にコメントを求めたが、回答は得られなかった。Wind Mobility Japanで3月末まで代表取締役を務めた及川克己氏も、「既に退職しているため、前職の内容について一切関知していない」と回答するにとどまった。

米国発の電動キックボード最大手、LimeとBirdに関しても、日本市場における今後の事業の見通しは不透明だ。

2019年11月に日本法人の設立とマイクロモビリティ推進協議会への参加を発表したLimeからは、日本市場における2人のキーマン、アジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏、そして広報担当者のクランシー・ドビン氏が退任している。