萩原氏は新卒で入社したリクルートで主にデータサイエンティストとしてキャリアを積んできた。同社を退職後は飲食店向けの予約/顧客台帳サービスを展開するトレタでデータサイエンス研究所の所長に就任。並行してリクルート時代に創業した自身の会社でデータ分析のコンサルティングも手がけてきた。
複数社のコンサルティングに携わる中で感じたのが、製品情報の基盤となる「製品マスタ」に関して多くの企業が強烈な課題を抱えていたこと。次第にこの領域はコンサルではなくサービス(プロダクト)を通じてアプローチした方がいいと考えるようになり、現COOの池内優嗣氏とともにLazuliを立ち上げた。
「多くの企業が業務のDXや最適化、分析を進める中で、膨大な量のトランザクションデータを活用していますが、その根幹となるのがマスターデータです。その中でも特に製品マスタの扱いが大変で、IDが統合されていないなどデータが散らばってしまっていたり、もしくはデータを管理するのに膨大なコストと手間がかかっていたりと、各社が何かしら“負”を抱えているような状態でした」(萩原氏)
複数の企業がそのような状況に陥っているのを目にする中で「誰もが使いやすい形で、欲しいデータを欲しいと思った時に取得できるデータベースを自分たちで作ってしまおう」と萩原氏は考えた。
冒頭で触れた通り、Lazuliが開発する「Ninja DB」では製品データの収集から加工までの工程を独自のアルゴリズムを用いて自動で実施する。
たとえば「○○トマト」という製品があった場合、その商品名や画像から特徴を抽出し、「トマト」「生鮮食品」「野菜」といったタグやカテゴリの情報を機械的に付与するといった具合だ(現時点ではテキストのみが対象だが、今後は画像から特徴を推定する仕組みを実装していく計画)。
こうしたデータの整形・管理作業は基本的にこれまでその大部分が手作業で行われてきた。特に大企業では数十人規模の専任スタッフを雇っているような状況で負担が大きいだけでなく、手作業でできる範囲が限界で製品マスタを十分に活用しきれていない場合も少なくないという。
Ninja DBの特徴はデータ管理業務を効率化することはもちろん、メタタグの情報を軸に製品間の繋がりを可視化してマーケティング業務に活用したり、レコメンドエンジンに応用したりできる点にある。要は手作業で大変だった作業の負荷を減らすだけでなく、製品マスタ自体をもっと有効活用できる可能性があるということだ。