私は漫画『ONE PIECE』がとても好きだ。主人公である麦わらの一味は同じ船に乗りながらみんな別々の夢を持ち、個性や強みも全く異なる。全員が必ず同じ役割を果たさなくても良い。一つひとつの製品に個性がある、そんなユニークなパワーアイテムを展開し、もっと自由に強みを発揮できるブランドを作っていきたいと考えている。

プロジェクトはデザインシンキングで進める

一般的なクリエイティブの提案は段階を追って進んでいくことが多い。例えば、コンセプトやロゴの提案から始まり、その後にパッケージ、キービジュアルの提案といった具合だ。

ただ、ロゴ単体だけ見ても自分たちがつくりたい世界の全体像は見えないし、そもそも「提案」という形ではイノベーティブなデザインは生まれにくいと考えている。

私がブランドづくりを行うプロセスでは、最初に一枚のコンセプトボードを共有する。そして一気にロゴ、パッケージ、キービジュアル、体験デザインなどをすべて同時並行で進めていき、実際に出てきたデザインを見ながら、デザイナーと一緒に進めていく。

オリエンテーションを完璧にして、チェックボックス式にフィードバックして完成品を求めることはあえてしない。まずはつくってみて、一緒に考えながら進めていく「デザイン・シンキング」のプロセスが少人数でのブランド立ち上げフェーズには向いていると思う。

デザインシンキングのプロセスで生まれる、さまざまなアイデア

一般的には、デザイナーは「提案」を求められ、打ち合わせでプレゼンし、デザインの良し悪しを評価されることが多い。ただ「提案を受ける」のではなく「一緒に考える」。悩みポイントの共有や相談をしてもらいやすい環境をするように心がけている。

途中経過を一緒に見て、話しながら考えを進化させ、同時にマーケティング戦略やコンセプトをブラッシュアップする。チームの全員がデザイナーの視点を持ちながら、インプットし合いブランドをつくる。そのプロセスには、全員が「ワーッ!!」と興奮するようなデザインのイノベーションが生まれやすい。

12月下旬公開予定のWEBサイトづくり

そして大切なのはチーム全体が楽しみながら取り組むこと。事業を創り、成功させたい思いが第一ではなく、「まだ世の中にはない新しい価値をつくるんだ」という思いが第一のチームは強い。

ブランド・アイデンティティの大切さ

ブランドの意思を伝える手段として、アイデンティティを持ったブランドにしていくことが私は大切だと考えている。そして、私はこのブランド・アイデンティティを考えるプロセスがとても好きだ。

 

SISIのブランド・アイデンティティは「芯を持ちながら柔軟に変化する可変ロゴ」。基本形は持ちつつもアイテムや使われる場所によって変幻自在に変化する。