徳力 サイバーエージェントでの経験は、トータルで3年ほどですね。転職しようと思ったきっかけは何ですか。
山崎 事業が黒字化したタイミングで、ふと次どうしようかな、と考えたんです。このままさらに事業を大きくするのか、サイバーエージェントで別のチャレンジをするのか。でも、どちらもしっくりこなくて・・・。
徳力 山崎さんは、直感に従うタイプですね。
山崎 そうですね。そのとき、エージェントの紹介でスマートニュースCEOの鈴木健さんに会いました。そうしたら、鈴木健さんが「山崎くん、アメリカの大統領選はどう思う?僕はここが論点だと思っていて・・・」と語り始めて、「おお」と驚きました。
徳力 そんな人に会ったことが、なかったでしょうからね(笑)。
山崎 そうです。「山崎くん、フィルターバブルとフェイクニュースについて、どう考えている? フィルターバブルで本来見えるものが見えなくなり、そこにフェイクニュースがのっかると、国は分断してしまう。それをスマートニュースで変えたいんだよね」と言われて、「やりましょう」と答えていました。
僕自身も、インターネットが普及して本来、起こるべきではないことが起きてしまっている現状や、自分自身で行動して世の中を変えなければならない時代が来ると感じていたので、そこで挑戦してみようと思って入社しました。
デジタルマーケティングでも「ファン視点」で活躍
徳力 ポジションは、マーケティングですか。
山崎 はい。僕がインハウスで映像制作をしながら、デジタルマーケティングをやってみようという感じでした。
そこでGoogle出身の望月優大さんに出会い、デジタルマーケティングの基礎を教えてもらいました。そこに、マーケティングディレクターの松岡洋平さんを加えて、3人で動いていたのですが、松岡さんが退社され、望月さんが違うミッションを担当しチームを離れ、そのあとに西口一希さんが入社されました。
徳力 西口さんが来られたのは、山崎さんがスマートニュースに入ってどれくらい経ったころですか。
山崎 1年ぐらい経っていたと思います。当時の僕は、広告のコンバージョンよりも、スマートニュースで何が見られたらユーザーに楽しんでもらえるかばかり考えていました。これは会社から与えられたミッションではなく、勝手にやっていたことだったので、半分、広告営業のような動き方をしていましたね。
徳力 いわゆるデジタルマーケティングをしていた時間は、そんなにないのですね。
山崎 いえ、わりと大きな額をひとりで回していました。でも、そのアプローチはちょっと変だったかもしれません。
例えば、ユーザーが出かけようと思ったとき、傘を使うかどうかの判断に天気予報を見たり、できるだけ雨に濡れないルートを探したりするために乗り換え案内や地図を見たりしますよね。
それならば、そうしたメディアに、スマートニュースの天気予報機能を打ち出した広告を出せばいいと考えるなど、外部要因に応じてディスプレイ広告の出稿額を増減するということを結構していました。
徳力 山崎さんは、やっぱりエクセルに染まらない素質、つまり数値だけを見ない人ですよね。おもしろいな。