信用情報に関しては不透明な部分が多く、アップデートできる余地が大きい──。「信用の最適化」をテーマに、2019年3月にCrezitを立ち上げた。最初に開発したのは個人向けのモバイルクレジットサービス「CREZIT」だ。

2020年3月にローンした最初のプロダクトはスマホ完結のモバイルクレジットサービスだ
2020年3月にローンした最初のプロダクト「CREZIT」はスマホ完結のモバイルクレジットサービス

同サービスでは独自の与信審査に基づき各ユーザーに最大10万円の与信枠が付与され、与信枠内の金額であればいつでも好きなタイミングで借入を行うことができる。登録から借入までスマホで完結し、24時間オンライン上で申し込みが可能。ベーシックプランの場合は金利が0%であることに加え、審査時間が最短5分とスピーディーなのも特徴だ。

2020年3月のローンチ以降、2週間で2000人から申し込みが殺到。これまでで累計4000人弱が申し込みをしている状況で、累計の貸付額は約4000万円にのぼる(申し込みの一時停止中にウェイティングリストに登録したユーザーも含めると6000人近くになるそう)。

今後はユーザーがCREZIT上で信用情報を管理したり、自身の信用情報(スコア)を育てていけるような仕組みも取り入れていく方針。同時にこのサービスで培った与信モデルや裏側のシステムなどをX Crezitに落とし込み、外部企業へ解放していく計画だ。

資金調達で「Credit as a Service」の開発強化へ

個人向けサービスのCREZITはある種、X Crezitを使ったモデルケースの1つという捉え方もできる。

自社でクレジットサービスをゼロから作る中で、Crezit自身も金融サービスを作ることの難しさを感じてきた。その過程で得られたノウハウや構築してきたシステムをCaaSという形で他社に提供し、与信サービスの開発や運営をサポートしながら収益を得る。

創業からこれまでの期間はC向けのクレジットサービスを展開する企業としての色が強かったCrezitだが、今後はB2B2Cの金融サービス(CaaS)の比重が徐々に高まっていくことになりそうだ。

同社では12月1日に千葉道場ファンド、ジェネシア・ベンチャーズ(既存投資家)、East Ventures、Plug and Play Venturesを引受先とする第三者割当増資により総額1.65億円の資金調達も実施。この資金を活用してX Crezitの開発体制強化を進める。

矢部氏の話ではX Crezitのブラッシュアップと並行して複数社とディスカッションを進めている状況で、来春のサービス展開を予定しているという。