Instgaramが何かを大きく変化させるときは、利用者のニーズなどをきちんと把握してから“変える”意思決定をします。リールとInstagramショップの専用タブを追加したのも、それぞれ利用者のニーズがあったからです。
例えばリール登場以前もInstagramに短尺の動画をアップする傾向はあったのですが、短尺の動画を作成するのは意外と大変でクリエイティブツールもアップデートされていませんでした。そこにリールを提供することで、誰もが新たに短尺の動画をつくれるようになり、多くの人に見てもらえるようになりました。
一方で、エンターテイメントは作る側だけでなく、“見る側”のことを考えないといけません。ひとつのタブをタップすると動画が出てきて、音も出る。いろんな動画を見られる空間はきちんと用意してあげないと見る側の使い勝手も悪いと思い、専用タブをつくりました。
Instagramショップも同じです。もともと、Instgaramには自分がフォローしているブランドの投稿を見て、実際に商品を購入している人も多くいました。ただ、「特定のブランドの商品を買いたい」という明確な購買ニーズを持った利用者だけでなく、「何となく買い物をしたい」という利用者の傾向もあったんです。それで何となくショッピングを楽しみたい人たちの体験をサポートするために、新しく専用のタブをつくりました。
──特に今年はコロナ禍でInstagramショップは重要な役割を果たしたと思います。コマース領域におけるInstagramの強みはなんでしょうか?
コマース領域におけるInstagramの強みは「商品を発見すること」にあります。多くのEコマースサイトには「こういう製品が買いたい」と思って訪れると思います。それがInstagramなら、投稿された写真などを見ながら、新しい商品を発見することができる。歩きながら買い物を楽しむ“ウィンドウショッピング”の行動をオフラインからオンラインに持ってこられたことがInstagramショップのユニークな点です。
また、Instagramショップは最終的な購買だけを必ずしも目標にしているわけではありません。「どうやってショッピングという行為のエンゲージメントを高めるか」を何よりも重視しています。もちろん、ひとりでもショッピングを楽しめますが、複数の友人との会話などソーシャル上でのコミュニケーションを進化させることで、ソーシャル上でのショッピング体験も進化させていけたらと思っています。