創業当時のプロダクト planBCD
創業当時のプロダクト planBCD  画像提供 : Kaizen Platform

当時のplanBCDはウェブサイトのA/Bテストに特化したサービスだ。

ウェブサイトをユーザーにとってより良いものにしていくためには、継続的にサイトを改善し続けることが求められる。しかしながら、それなりの規模のサイトで継続的にA/Bテストをしながら改善をしようと思うと、エンジニアとデザイナーが張り付いて作業をすることになり、時間やコストがかかってしまう。

planBCDではA/Bテストに簡単にチャレンジできるツールと、外部のグロースハッカーが改善案を提案してくれるクラウドソーシングの仕組みを通じて「試すコスト」を下げたのがポイント。須藤氏自身が過去に困っていたことを解決するサービスであり、お金を払って使いたいと言ってくれるお客さんも一定数存在することはわかっていた。

つまり「マーケットがある」ことはわかっていたので、プロダクトに対する手応えは当初からあった。強力なセールスメンバーが集まっていたこともあり、初期の顧客をしっかりと獲得することに成功。2014年3月には早くもシリーズAラウンドで500万ドルの資金調達も実施した。

創業期のKaizenを支えたメンバー。右から3人目が須藤氏、中央が共同創業者の石橋利真氏
創業期のKaizenを支えたメンバー。右から3人目が須藤氏、中央が共同創業者の石橋利真氏  画像提供 : Kaizen Platform

「3年間の魔法」が解けた後、困難とどう向き合っていくか

とはいえ、全てが予定通りに進んだかというとそんなことはない。むしろ予定通りにいかないことの方が多かった。

2014年に入ると、新規の顧客は順調に増えていたものの「プロダクトが一部の既存顧客に使われていない」という課題に直面する。どうやらplanBCDにログインすらされていないのだ。

なんでこんなにサービスを使ってもらえないのか。必死に考えて見えてきたのが、A/Bテストはサイトのどこに課題があるのかをわかった上で、それを改善するために実行するものだということ。顧客がどこに課題があるのかをわかっていなければ、A/Bテストはできない。

「そもそもサイト上の問題を分析したり、仮説を立てたりするところから一緒にやっていく必要がある」。そう考えて関連する機能を開発したり、当時は日本でも珍しかったカスタマーサクセスチームによるサポート体制作りに取り組んだりしながら対応策を練った。

それからしばらくすると、今度はA/Bテストを通じてサイトの改善に成功した企業が解約してしまうケースがちらほらでてきた。顧客が満足するようなサービスを提供し、事業成長に貢献できたとしても、A/Bテストだけでは解約されてしまう可能性がある。

解決策として、蓄積されたデータを基にクリエイティブをユーザーごとに出し分けられる仕組みなど、より高度な取り組みができるようにサービスを進化させた。それとともに、サイトのUX改善だけでなく動画制作などのニーズにも応えられるように新規事業にも着手した。