デジタル庁が民間人材を公募した狙い、そしてどんな人材を求めているのか──デジタル庁の創設に向けて準備を進める、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 デジタル改革関連法案準備室 企画官の津脇慈子氏に話を聞いた。

コロナ禍では届けたいサービスを届けられなかった

──民間人材の公募を開始した狙いを教えてください。

良いサービス、使いやすいサービスをつくり、それを国民の皆様に届けることは、霞ヶ関の人間の考えだけでなく民間人材の考えも必要だと考えたからです。ソフトウェアや基幹システムを作っていく上で、“国民目線”や“専門知識”を兼ね備えた民間人材の参加はとても重要です。

今回、デジタル庁を設置し、社会全体のデジタル化を進める最大の目的は、“行政サービスをより使いやすいものにしていくこと”にあります。コロナ禍では本当に届けたいサービスをしっかりと届けられなかったからです。

例えば、給付対象者1人につき10万円を支給する特別定額給付金に関しては、自治体の窓口でさまざまな混乱が起こりました。「海外ではもっとスムーズにできていたではないか」、「日本も頑張っていたが、もっといろいろできたのではないか」というご指摘もいただきました。

より良いサービスを提供するには、縦割りの構造をなくし、国民目線を取り入れながら進めていく必要があります。デジタルを活用して、届けたいサービスを届けられるようにする。その基盤作りがデジタル庁の役割です。

そして、その役割を果たすためには、デジタルの専門家でありユーザー目線で開発をしている民間人材の採用が重要だと考えました。

DIAMOND SIGNALの取材に応じる津脇慈子氏
DIAMOND SIGNALの取材に応じる津脇慈子氏

──デジタル庁では創設までにどれくらいの人数を採用する予定でしょうか。また、そのうち民間人材はどの程度の割合を占めるのでしょうか。

最終的な人数はまだ決まっていません。ただ、全体で500人規模になる予定で、一定数の民間人材も採用する予定です。今回はデジタル庁の創設前から進めていく“先行プロジェクト”に必要な民間人材を30人ほど採用したいと考えています。

ですが、決して“人数ありき”ではありません。我々と同じ想いを持ち、卓越した技術力のある方々の人数になるので、実際に採用する人数は明確にしていません。

また、4月以降は大々的に採用を進めていき、9月に入庁する全員に向けた募集を開始する予定です。今回採用する人材は週3の非常勤という形で働いてもらうことを想定しています。業務形態は兼業というかたちでも構いませんし、テレワークも可能ですので東京在住以外の人たちにも応募してもらえればと思っています。