募集ポジションを明確化、脱・縦割りを目指す

──とはいえ、エンジニアやIT人材を採用するのはそう簡単ではありません。民間でも各企業が採用に苦労している状況ですが、今回の募集で工夫した点やポジションのやりがいについて教えてください。

今回の募集では、プロジェクトごとにポジションをわかりやすく明記するようにしました。例えば、今まではエンジニアを採用する場合、「CIO補佐官」という役職名があるのですが、どのような仕事をする人であっても同じ「CIO補佐官」という役職名になっていたんです。(編集部注:今回の採用ではプロジェクトマネージャー、クラウドエンジニア、ネットワークエンジニアなど、募集するポジションが明確になっている)

また、これまでは役人中心で面接を実施することが多かったのですが、今回は技術に理解のある方に面接をしていただく“技術面接”も導入する予定です。

今回の募集で採用する方々に参加していただくプロジェクトはどれも、日本全体をデジタル化する上での基盤となる非常に重要なもの。例えば、「政府統一ウェブサイト」の開発がそうです。今は各省のホームページがありますが、それでは必要な情報を即座に見つけることは困難です。

海外では政府関係の情報はひとつのウェブサイトにまとめられていることもあり、欲しい情報が数クリックで見られるような仕組みになっています。デジタル庁ではそのような縦割りではない情報基盤の構築を目指します。

また、民間企業でエンジニアの採用の経験があるリードリクルーターも募集しています。我々のような役人だけではなく、そのような方々にも今後のリクルーティングに参加していただきます。

採用サイトには平井大臣のメッセージが掲載されている
採用サイトには平井大臣のメッセージが掲載されている

──スタートアップやIT企業では採用において“ビジョンへの共感”を重視していることが多いです。デジタル庁ではどのように考えていますか。

平井大臣の言う「誰一人取り残さない社会の実現」といったビジョンに共鳴し、「一緒にデジタル庁をけん引していきたい」と考えてくださることが重要です。採用を決定する前には大臣と直接、ディスカッションをしていただきます。

大企業で大きなプロジェクトを経験されてきた人材も重要ですが、“国民の皆様に届ける”という意味では、スタートアップにも優秀な人材が多いと思っています。

特にUI・UXに精通した人たちが多い印象ですので、そういった方々にはぜひ入って欲しいと思っています。同じ想いを持つ多様な方々が集まれば、良いデジタル庁になるのではないでしょうか。民間人材の方々はユーザー目線を持ち、“何が使いづらいのか”を理解しています。役人側も、今までの経緯を踏まえつつ、変わっていかなければならない。皆様と一緒に変わっていくということなのだと思います。