2010年頃から始まったSNSやメディアなどのオンライン完結サービスの時代がここ数年はオンライン×オフラインの時代に移り変わっていた印象ですが、今年は動画や音声など、再びオンライン完結のサービスがよりリッチなフォーマットで改めて浸透したと感じました。4G以降の大データ容量時代の醍醐味を本当の意味で享受したのではないかと思います。

また、逆説的に人類が改めて「リアルな体験」の価値を見つめ直した1年でもありました。多くの人にとって、リアルでなくては実現できないことの価値が相対的に増幅し、その最たるものが旅行でした。巣ごもり需要の盛り上がりも大きなものでしたが、ステイホームで溜まったストレスの向き先となったのが旅行です。旅行業界に身を置く者として、色々な側面での大きな波を全身で感じ、とにかく刺激的な1年でした。

  • 2021年のトレンド予測

2021年も、引き続きリアルでの体験の価値が増幅し続けます。with・afterコロナの世界で、ウイルスのような目に見えない脅威との共存が一層日常化すると、人類は旅行をはじめとしたリアルな体験、いわゆる「非日常」に癒やしを求めます。癒やしを求めるということは、より強く生きることを望むということであり、「生きようとする」人間の本質が、そういったリアルでの体験へのニーズに色濃く現れてくるのではないかと思います。コロナ収束の早さ次第では近隣国やリゾートへの海外旅行も大きなトレンドになると思います。

メディアの側面での2021年は、あらゆるコンテンツが音声や動画などのリッチなフォーマットによって配信されることで、長文の持つ価値はマスにおいては相対的に下がっています。そこで、シンプルな短文テキスト(「読む」ではなく「見る」だけで理解できる長さの文字列)の持つ価値、渋い言葉で言うところの「言霊」のようなものが密かに重要になっていくのではないかな、と考えています。短文はこれまでキャッチコピーのように一部の人が作るものでしたが、そこに民主化の波が来るのではないかな、と予想しています。

ヤプリ代表取締役CEO 庵原保文氏

  • 2020年の振り返り

コミュニケーションのタッチポイントのデジタル化(アプリ化)が急速に広がった1年でした。例えば弊社の顧客の多くは実店舗を運営していますが、ECシフトを急速に進める必要があり、EC投資がこれまで以上に増加しています。また、会社と社員とのコミュニケーションもデジタル化が進んでおり、例えばペーパーレスの文脈で紙カタログを全面的にアプリに切り替えたり、研修動画や資料をアプリでデジタライズする企業が急速に増えてきている印象です。