だが、そんな「批判」もごく一部の声であるとすぐに証明される。開業翌月の4月には宿泊日を決めずに購入できるチケット「みらいパスポート」を販売。購入金額は1人2万円と決して安くはない金額だが、販売開始3日で500万円の売上を記録した。そして、緊急事態宣言が解除された後、同年7月のオープンにこぎつけた。

なぜこのタイミングで「ライフスタイルホテル」だったのだろうか。第3波として猛威をふるい始めた新型コロナウイルスの影響はどうなっているのか。THIRD石垣島の誕生までの経緯、そして現状を聞いた。

THIRD石垣島は石垣港離島ターミナルの目の前にある
THIRD石垣島は石垣港離島ターミナルの目の前にある

2本の電話に導かれ、自社ホテルブランド確立へ

佐々木氏のキャリアプランは、プロ野球選手だった父・佐々木誠氏を目指すところからスタートする。しかし、怪我のため高校卒業とともにプロ野球選手になる夢は断念。その次に追うこととなったのは、経営者である祖父の背中だった。

佐々木氏は大学へ進学し、19歳で起業。当初は海外から仕入れた商品を日本で販売する卸売業、その後は美容系の会社を経営していた母親の影響を受け、韓国の美容商品を日本の店舗やオンラインショップへ卸すといったこともしていた。

「卸売業をするうちに、在庫を抱える仕事以外をやりたいと思い始めて。2013年頃は街コンが流行っていたこともあったので、全国で街コンを開催するような事業もやっていました。これが時流にに乗ったこともあり想像以上に成長して、1年少しで売却しました。そのあと3年ほどは、ピボットを繰り返しながらいろんなな事業を続けていました」(佐々木氏)

そんな佐々木氏に「ホテルビジネスをやらないか?」と、とある投資家から提案が舞い込む。もともと佐々木氏は旅行が好きで、ブームになり始めていたAirbnbを使った民泊にも興味があった。話を聞いていくなか、沖縄のヴィラ運営をきっかけに、ホテルの企画・デザイン・運営をワンストップで行う事業を行うスターリゾートを創業。2017年12月にBEENOSとVOYAGE GROUP代表取締役社長兼CEOの宇佐美進典氏、続いて2018年12月にはエアトリとパンスールなどから合計約9900万円を調達した。

しかし、やってみてわかったのは、集客や接客、プロデュースを行うホテルの運営代行会社は下請けであり、事業を発展させるには難しいこと。「ホテル事業は、自社ブランドをつくることが何よりも重要」と感じ、佐々木氏も何か大きく発展できるチャンスはないかと考えていたころ、一本の電話が入る。