すべての提供画像:Spotify
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「Official髭男dism」人気が継続した理由

──2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって人々の生活スタイルが変化しましたが、Spotifyの視聴傾向にはどのような影響がありましたか?

これまでは平日ですと朝と夕方から夜、いわゆる通勤・通学の時間帯に聴かれる傾向にあり、土日にはあまり時間帯で変化の波がなかったのですが、みなさんがずっと自宅にいる状態になると曜日や時間による変化がなくなりました。

聴かれるコンテンツの内容に関しては、Lo-Fi(ジャズを中心としたサンプリング、レコードノイズの音、意図的にヨレたリズムといった要素が特徴的な音楽)やチル系(比較的陽気でスローテンポな音楽)など、音楽に安らぎを求めるような傾向が強くなりましたね。

「作業用」と言われるような勉強や仕事をしながら背景に流しておけるLo-Fiなどのニーズが上がり、その一方で、自宅にいながら楽しむためのプレイリスト、たとえばワークアウトや料理をしながら楽しめるプレイリストも増えました。それはSpotifyのエディトリアルチームが作成したオフィシャルプレイリストだけでなく、ユーザーやアーティストが作るプレイリストにも増えたと思います。

あとは世界的に見ても、懐かしいものを求めて昔のカタログを聴く動きが起こっていました。まとまった時間ができたことによって、これまで興味はあったけど聴いてなかったようなコンテンツにアクセスしたのかなと思います。

──Spotifyが発表した今年のランキングでは、Official髭男dism(以下、ヒゲダン)が「国内で最も再生されたアーティスト」「国内で最も再生された楽曲」「国内で最も再生されたアルバム」の三冠を達成しました。ヒゲダンがここまで聴かれている要因を、どのように分析されていますか?

ストリーミングサービスの特性でもある「一度聴かれるとロングタームで聴かれ続ける」ということと、ヒゲダンの「複数のヒット曲がある」という強みから生まれた結果だと思います。

──ヒゲダンの「Pretender」は2019年5月にリリースされた曲で、昨年も「日本国内で最も再生された楽曲」の1位を取っています。どういった要因で、この曲が2年連続1位という結果になったのでしょうか。

去年10月にアルバム「Traveler」が出て、そこから年末にかけて「Pretender」が相当聴かれる現象があり、それが今年に入っても衰えなかった結果だと思います。

今年に入ってからは「I LOVE...」がドラマ「恋はつづくよどこまでも」の人気とともに春先にかけてすごく聴かれていて、それに引っ張られるようにして「Pretender」や以前の曲も聴かれる現象が長期的に続きました。