瑛人の「香水」に関しては、誰でも口ずさみたくなるようなシンプルな曲で、「ちょっと弾き語りしてみた」ということがしやすい楽曲です。TikTokって、当初は「若い人たちが踊ってみる」みたいなメディアだなと思っていたんですけど、今年に入ってからは弾き語りや「歌ってみる」のアプローチが増えていきました。
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瑛人の場合、チョコレートプラネットの動画のように映像として参加してみたくなるということも影響して社会現象になったのだと思いますし、NiziUも「真似したくなるダンス」というのがヒットした一要因であったように、「参加できるもの」というのが今年のキーワードとしてあったと思います。
──「歌ってみた」などのUGCによって曲が広まっていくことはこれまでもありましたが、2020年はそれが爆発したような年ですよね。
今までは音楽フェスで一緒に飛び跳ねてタオルを回すようなアプローチの曲もありましたけど、今年は音楽フェスがなくなったため、予期せぬ方向へ進んでいったというのはあると思います。インターネットカルチャーでも4つ打ちの速い曲とかはあるんですけど、ライブで同じ空間を体感することを目的に作られたわけではないんですよね。
──コロナが終息したあとも、フェスで盛り上がるような曲よりも今年の傾向が続いていくと予測されますか?
コロナの先を予測することは難しいですけれど、コロナがなかったときとまったく同じ状態に戻ることはないような気がしていて。2020年に起きた新しい流れはそれなりに残って、今までにないヒットの生まれ方は今後も続くんじゃないかと思います。
ストリーミングで聴かれることを想定した曲の出し方や作り方を意識しているアーティストは増えていて、「プレイリストの中で曲が発見されやすいように」といった目線もさらに生まれてくると思いますし、あとはコラボレーションを有効的に使う取り組みですとか、今までになかった発想をしてくるアーティストが増えるんじゃないかなと思います。