リーマンショック後に地銀が受け入れた公的資金の完済が相次いでいる。公的資金が優先株式から普通株式に一斉転換する期限が近づいてきたなか、各行は(1)内部留保の蓄積、(2)第三者割当増資による資本調達、(3)再編による資本力増強──の三つの方法で返済原資を確保した。公的資金が残る6地銀は、今後、予想される金利上昇も味方に付けて、地道な内部留保の積み上げで公的資金の完済を目指していくべきだろう。
7行が返済原資を確保し普通株転換を前に完済
2021年10月の福邦銀行を皮切りに、地銀による公的資金の返済が相次ぎ、三十三フィナンシャルグループ(旧第三銀行)(FG)など7行が完済を果たしている。これにより、公的資金が残存している地銀は、東和銀行や筑波銀行など6行(持株会社ベースでは5社)となった(図表)。
現在、6行はいずれも金融機能強化法に基づき公的資金の注入を受けている。各行に対する公的資金の注入は転換型の優先株式で行われているが、上場会社の場合、優先株が普通株に転換すると株価変動によって返済の時期や手法が不安定になる。完済した7行の一斉転換期限は24年から25年に設定されていたことから、期限前の返済が意識された可能性が高い。
過去にメガバンクなど大手行が公的資金を完済した方法は三つある。金融機能強化法に基づく返済でも、この三つの方法がベースになっている。