運動したい、でもできない……。そこで本連載は論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指してみてください。
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「1日1万歩」も歩けない!?
1万歩はゆっくり歩くと100分、早く歩くと70分。
これを一度にやろうとするとかなりの「時間」、かなりの「運動」になってきます。
今はどんな人も忙しいので「まるまる1時間半の運動時間」はそう簡単に取れるものではありません。
ジムに課金しても続かない……
強制的に歩こうと月額8000円もするジムに入会しても、行かなくなる人は多いでしょう。
そしてこういう方は歩かなければ運動時間が「ゼロ」になってしまいます。
なぜ人は太るのか?
成人男性が1日に摂取するカロリーは2200キロカロリー、対して平均消費カロリーは1900キロカロリー。
ですから歩くことなど運動をさぼると、日々、300キロカロリーが体にたまってしまいます。
300キロカロリーの目安は、ごはんならお茶碗2膳、食パンなら2枚分のカロリーですが、食事の量はそのままに運動しない日が続いてしまうと、これが体重増加を招き、やがては病気につながります。
だからこそ余分な300キロカロリーを消費する1万歩のウォーキングが重要になるというわけです。
「1万歩」は分けられる?
ただここで最初に誰もが感じる疑問は「1万歩はまとめて歩かないといけないのか?」ということだと思います。
たとえば、
朝、通勤時に3000歩
昼、ランチで2000歩
仕事の移動で2000歩
夕方、帰宅時に3000歩
これでも1万歩の効果はあるものなのか。
小分けにしても効果は「ある」
結論からお伝えすると、1万歩を小分けにしてもウォーキングの効果はあります。
以前、有酸素運動は20分以上しないと効果が出ないと言われた時代がありましたが、細切れの運動も十分に有効であることがわかってきているのです(※1 ※2)。
分けられるのもウォーキングの利点
小まめな掃除をすることで、年末の大掃除がいらなくなるように、小まめなウォーキングをすることで、一気に運動しなくてもすむ体制を組む。
それができるのもウォーキングの魅力です。
これなら続けられる気がしてきませんか?
※本稿は大谷義夫著『1日1万歩を続けなさい』より、一部を抜粋・編集したものです。本書にはウォーキングの効果にまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。
※1 Dunn AL et al. Comparison of lifestyle and structured interventions to increase physical activity and cardiorespiratory fitness: a randomized trial. JAMA. 1999 Jan 27;281(4):327-34. doi: 10.1001/jama.281.4.327.
※2 DIPIETRO L, et al. Three 15-min bouts of moderate postmeal walking significantly improves 24-h glycemic control in older people at risk for impaired glucose tolerance. Diabetes Care. 2013 Oct;36(10):3262-8. doi: 10.2337/dc13-0084. Epub 2013 Jun 11.