「平日は忙しいから休日に寝だめ」を繰り返すと人間はどうなる?精神科医が警鐘を鳴らすワケPhoto:PIXTA

ストレス解消のために、いつもより長く眠りたい、ハードな運動でスカッとしたい、共通の悩みを持つ誰かとSNSでガッツリつながって心を温めたい…そんな人々に、精神科医が警鐘を鳴らす。本稿は、メンタルドクターSidow『ケーキ食べてジム行って映画観れば元気になれるって思ってた』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。

眠れるときにたくさん眠ることは
ほとんどメリットがない

よくあるストレス解消法
「寝られるだけ寝る」
  ↓
より良いストレス解消法
「睡眠の質とリズムを大切にする」

 睡眠は好きですか?私は大好きです。

 広く暖かいベッドで、ゆっくり時間を気にせずに眠っていられたら、何より幸せなんだろうなぁ、と考えるときもあります。

 ただ、現実はそうはいきません。

 仕事やプライベートの予定に追われ、気づいたら夜も更けている。明日も早く起きて仕事に行かないといけない。やっと布団に入っても、今日の日中にしてしまったミスが頭から離れなくてなかなか寝つけない。

 そんな日が続き、不眠から仕事にもあまり集中できなかったけれど、何とか1週間の仕事をやりきって、明日は待ちに待った休日!特に予定もないから今日こそ寝られるだけ寝るぞ!と考えて気合いを入れて眠りにつくと、起きたらすでに夕方の4時。外も少し暗くなっていて、お腹も空いてるけど食材がない。外に買いに出るのもめんどくさい。あぁ、もう明日は仕事か。どうしよう、寝すぎたせいでまったく眠れない……。

 こんな経験はありませんか?はい、私にはあります。

 睡眠には免疫機能の向上、気分の安定、記憶の整理、疲労の改善など多くの効果があり、睡眠の重要性は強調してもしきれません。

 かといって先ほどのように、睡眠時間が確保できたら寝られるだけ寝る、という睡眠はやめましょう。

 睡眠で重要なのは質とリズムです。質については今さら語ることでもないですが、浅い睡眠を長く取るよりも短くてもしっかり熟睡感を得ることが大切です。

 基本的に熟睡感を得られる平均的な睡眠時間が7〜8時間といわれているため、それを基準にして、後は自分の体質によって増減するのが良いでしょう。

 睡眠時間は短くても長くても体にはマイナスに働きます。だから眠れるときにたくさん眠ることはほとんどメリットがありません。それに人間は体の機能上「寝溜め」はできないので、1日たくさん寝てもそれまでに蓄積した疲労を改善する効果も薄いことを知っておきましょう。

 そして日々の疲れをしっかり取るために大事になるのが睡眠リズムです。同じ時間に寝て同じ時間に起きる、というリズムがつくれるのが理想ではありますが、仕事やプライベートの都合もあり、ずっと一定の睡眠時間を確保するのは難しいと思うので、できれば起床時間だけは一定にするようにしましょう。