本間氏が言うには、Quipperを始めとするエドテック・スタートアップの登場で、より多くの学生たちが教育に(インターネットを介して)アクセスできるようになった。MANABIEで目指すのは、その「アクセス」できるようになった教育をさらに「効率的かつ効果的」にすることだ。

「端的に言うと、オンラインで勉強するのは結構『しんどい』。 3カ月ほどの期間、1人で勉強を継続をできる人は10から20パーセントくらいしかいない」

 MANABIEで解決を目指す課題について尋ねると本間氏はそう答えた。10から20パーセントと聞くと低く思えるが、オンライン教育事業社の間では常識なのだという。

「教育にアクセスできる人は増えた。だが、これでは自分で勉強ができる人しか学力が伸びない。今後は『いかに勉強してもらうか』が鍵となってくる」(本間氏)

本田圭佑も出資、オンライン教育の“サボり”防いで学習効率上げるスタートアップManabieのサービスイメージ 提供:MANABIE

 Manabieにはオンライン授業と演習・模擬試験を提供する「Manabie Basic」、それに加えオンラインで1対1のコーチングとチューターへの質問が可能な「Manabie Prime」、そしてPrimeにオフラインでの学習環境を追加した「Manabie Hub」の3つのプランがある。料金はそれぞれ年額で、Basicは50ドル、Primeは250ドル、Hubは1000ドルだ。

 サービスの要となるのは、生徒のモチベーションを上げる「コーチ」の存在だと本間氏は言う。

「生徒に教材を渡して『勉強してね』と言っても、大体はやりきらない。そこで問題を教える人でなく、問題を解くことに伴奏するコーチが重要になる。例えば『今週はこの勉強を頑張ろう』、 といった具合に伴奏してあげることで、(前述の10から20パーセントという数字は)倍以上になる 」(本間氏)

専用アプリと短尺動画でコーチングを効率化

 Manabieでは、コーチ向けのアプリを開発し、コンテンツを短尺にすることで1人のコーチが多くの生徒を効率良く担当できる体制にした。コーチは30名ほど所属しており、各自30から40名ほどの生徒を担当する。

 コーチにも指導用の専用アプリが用意される。アプリでは、生徒の学習状況や成果が記録・可視化されるため、データに基づいた指導が可能になる。

 本間氏によると、コーチ用のアプリでは「この生徒にこのようなアドバイスをしたほうが良い」といった指導のレコメンド機能も提供している。このレコメンド機能はまだ完全なものではないが、今後よりデータが蓄積されることで、精度が更に向上するという。チャットボットを使用した自動化も将来的には可能だが、Manabieでは「生徒はボットよりもコーチからアドバイスを受けるほうが耳を傾ける」(本間氏)と考えている。そのため、今後も指導は人間が行うことを徹底し、サポートするシステムの精度をより高めていく方針だ。