「オンライン上で会うのが普通」
変化する20代の恋愛観

 新型コロナウイルスの外出自粛で「恋人がほしい」となるところまでは容易に想像できるが、本当にそれだけだろうか。

マッチングエージェント代表取締役の飯塚勇太氏 画像はビデオチャットよりマッチングエージェント代表取締役の飯塚勇太氏 画像はビデオチャットより

 タップルを運営するマッチングエージェント代表は、飯塚勇太氏。写真共有サービス「My365」(2019年3月にサービス終了)の生みの親というと、ピンとくる人がいるかもしれない。

 マッチングエージェント前代表の退任が決まったタイミングで、サイバーエージェント代表の藤田晋氏から白羽の矢を立てられた。そんな飯塚氏が代表に就任したのは、2020年3月。世の中はすでに、新型コロナ騒動の真っ只中――。

「感染者数が増えていくなか、恋愛市場に関しても影響が出ることは予測できました。タップルの価値は、男女の出会いを創出すること。なかでも、デートを経てカップルが誕生することに、体験価値がありました。でも、それができなくなってしまった。足元の数字が下がっていたわけではありませんでしたが、このままでは中長期的リスクは避けられません。そこで考えたのが、オンラインデートだったのです」(飯塚氏)

 そして公開1週間で累計マッチング数1万組を突破。タップル利用者の約3割がオンラインデートへ移行した。すんなりと受け入れられた理由は何だったのか。

「代表に就任して驚いたのは、今の若い世代とこれまでの世代では、恋愛スタイルが異なること。以前までは、恋愛=実際に会って話したり、デートしたりするのが一般的でした。一方で、若い世代は『アプリを使って恋愛する』という言葉がよく使われるほど、オンライン上で、恋愛のような人生を左右する選択をする人が多いのです」(飯塚氏)

 飯塚氏によると、FaceTimeを1日中つなぎっぱなしているカップルもいれば、オンラインゲーム上でデートするカップルもいる。タップルのおもなユーザー層である20代前半の男女にとって、オンライン上で出会ったり、デートしたりすることに違和感はなかったのだ。

「女性ユーザーからは、『外出の準備がないので気軽』のほか、『すぐに会わないから安心』といった声もいただいています。不安を感じればその場でやりとりを断ち切れるので、その点は安心安全と言えますね」(飯塚氏)

最大手「Pairs」はアプリ内に新機能
15分間限定の「ビデオデート」を導入

 一方で、4月20日からアプリ内にビデオ通話機能「ビデオデート」を導入したのは、マッチングサービス最大手であるエウレカの「Pairs」だ。Pairsは累計ユーザー1000万人、マッチング数は非公開ながら、実際に恋人になって退会したユーザーは25万人以上となっている。