Pairsのビデオデートを使うと、アプリ内でマッチングした男女が、最大15分間のビデオデートを楽しむことができる。機能の提供をしたばかりということもあり、利用者数などの詳細は公開していないが、提供開始から5日で「恋人ができた」というユーザーも現れた。
「ビデオデート機能はもともと構想していたもので、今年の年末にもリリースできるよう準備していました。やはりメッセージ、テキストだけでは分からないこともあると思っていたので。そこにきてこの状況(コロナウイルスの感染拡大)もあり、リリースを前倒ししました。非常事態宣言の出る1週間ほど前から今後の展開を想定しており、オンラインで楽しめる機能をそろえていこうと社内で話していました」(エウレカ執行役員の金田悠希氏)
同社がマッチングアプリ内にビデオデート機能を導入した最大の理由は、コントロールのしやすさだ。会員同士とはいえ、いざビデオで話してみると、マナー違反があったり、会話が弾まないケースがあったりもする。そんなときのためにあらかじめ制限時間を設定し、またAIで動画を解析することで、会話内容自体には触れず、不適切な動画が配信されていないかのチェックもおこなっている。
Pairsもタップル同様、ユーザー数などはコロナの影響を受けていないが、ユーザー間でのメッセージの件数自体はこれまでより15%程度増加しているのだという。金田氏は今後Pairs上で(1)オフラインで実際に会う前に、会話のハードルを下げる、(2)安心安全でセキュリティやプライバシー面でのアップデートを行う、(3)オンラインであっても楽しめる――の3点を意識した機能を提供していくとした。
「最初のデートはオンラインで」
アフターコロナのマッチングアプリ市場
では、若い世代のスタンダードとして、オンラインデートは定着するのだろうか。それとも、新型コロナウイルス期の一過性に終わるのか。
「会議をオンライン化したことで、効率が上がった例もあります。それによって『以前の働き方には戻れない』と話す人もいますよね。同様に、デートもオンライン化することでマッチング総数が増え、いい人に出会える確率は上がります。僕としては、アフターコロナにおいて、オンラインデートが一般的になる可能性はあると考えています」(飯塚氏)
これは、マッチングアプリ市場そのものが盛り上がりつつあることも追い風になっていると飯塚氏は続ける。
「マッチングアプリ市場は今、実際に付き合ったり結婚したりするカップルが誕生し、実例とともにユーザーが増え続けています。オンラインデートによって恋愛スタイルがアップデートされることは、ビジネスとしてはもちろん、社会的にもプラスです。『最初のデートはオンラインで』を根付かせられるかどうかは、我々マッチングアプリ業界を大きく左右します」(飯塚氏)