その前にまず、今のインターネット産業がどうなっているかという話をさせてください。インターネットというものが生まれて、もう25、30年というところに来ました。その間に純粋なインターネット産業は、成長産業から成熟産業に向かっています。その流れは2018年頃から感じていましたが、それが顕在化してきたのが昨年あたりからだったと思います。

 ヤフーがLINEと経営を統合し、ZOZOを買収するというニュースに代表されるように、新しいものが生まれてくるよりも、今あるものが統合していくほうが(インパクトが)大きくなってきました。統合の方が大きいというのはもう、完全な成熟産業です。そこはスタートアップが戦う領域ではなくて、リソースのある大きな会社が戦う領域になりつつあると感じています。

 僕たちはGunosyという会社で「メディア」をやっていたように見えたかもしれません。ですが、実際にやっていたのは「メディアのDX」だったと思っています。メディアの裏側の仕組み――例えばユーザーの行動をトラッキングし、好みを学習することで、どうすれば記事を読んでもらえるのか、満足度が上げられるのかをアルゴリズムで実現するといったことは、メディアのDXそのものです。これらの技術が今後は金融や物流、自動車といったより大きな産業にも波及する考え、事業領域を決めました。

 金融や物流をはじめとしたリアルで重厚長大な産業とインターネット産業で大きく違うのは、バリューチェーンの長さです。例えば金融業であれば、オフィスだけでも膨大な紙の処理をしていたり、コンプライアンスを守ったうえで、複数の会社をまたぐような作業をしていたりします。扱うデータをどう一元化し、データの信頼性を保証するかも考えないとデジタル化できません。

 そこでブロックチェーンが重要になります。まだまだ仮想通貨の印象が強いかもしれませんが、そういった業界、産業を横断するバリューチェーンのデジタル化を促進するための技術だと考えています。

――今はあらゆる領域でDXという言葉が飛び交っています。この流れのきっかけというのは何かあったのでしょうか。

 もちろん直近ではコロナウィルスの影響は大きいです。しかし、「振り返ればこれが潮目となって、状況が大きく変わった」ということはないと思っています。

 私たちは最初に金融領域にフォーカスし、そこから他の領域にDXを広げていきたいと思っていました。そもそも金融というのは、データ、数字を扱うビジネスです。データを保持しなければいけないという意味でも、デジタルになっていないのはおかしいと考えていました。