ですがやはり、産業をまたぐデジタル化には大きな変化が必要になります。大きな流れとして見れば、世の中のデジタル化率は5%ほどではないでしょうか。産業でいえば、ECとメディアくらいです。まだ95%は何もデジタルになっていない状態です。それがこれからどんどん変わってきて、デジタル化された産業がマジョリティーになっていく。そんな変化の中にいると感じています。

DXの正体は「計測化」や「サービス化」

――DXについてはさまざまな定義で語られているところがあります。LayerXが考えるDXの定義について教えてください。

 DXやデジタル化といわれるものの正体は、「計測化」や「サービス化」だと思っています。

 例えばメディアなら……これまで新聞やテレビはさまざまなコンテンツを作ってきましたが、「どうやって読者や視聴者を集めたか」や「何を変えればその結果は改善するのか」ということを調べるのは、アンケートのような(一部のユーザーのヒアリングしかできないような)雑な方法しかありませんでした。ですが、デジタル化によって、すべてのユーザーが何をクリックしたか、どこにどれだけ滞在したか、リピートしたのかどうかまでの全てを知ることができるようになりました。そうなると、「ユーザーに対してコンテンツをどう出して(KPIを)どう改善するか」というサービスを考えられるようになります。

 また契約や請求という業務を例に考えてみます。ハンコを押すという作業は、これ以上改善しようがありません。ですがこれを電子契約にすると、電子契約を引き金にして、そのままオンラインで請求書を発行し、相手企業からの支払いを待つという一連の流れを、各種のSaaSと銀行APIを繋げて自動化するような世界がやってきます。そうなればすべての業務を計測し、改善できますよね。もちろん請求のような作業は、自社だけでなく相手の会社にまたがる業務です。相手が承認した証拠を残すことが求められ、改ざんできないデータベースも必要になってきます。

 計測化、サービス化の究極のかたちが、よくDXでいわれる「自動化」なのだと考えています。例えば銀行の支店業務であれば、契約のバックチェックが必要なくなるとか。物流であれば、欠品があった時にサプライチェーンのどこで問題が起こるのかが見えるようになるということです。

――そういったデータベースのためにブロックチェーン技術が必要になるということでしょうか。

 ブロックチェーンは、いってみればトンカチ。AIやクラウドと同じで、それを使って何を作るかという“道具”でしかありません。もちろん僕たちはブロックチェーンへの技術投資も進めますが、僕らがDXといっているのは、「ブロックチェーンを使った結果」の話です。紙やハンコ、FAXでやっていた業務をペーパーレスにするといったことこそ、企業が欲しているのです。