主要都市エリアの鉄道の乗降客は以前と比べればまだ、減少が続いているが、丸川氏は「移動機会はゼロにはならない」と話す。「暮らし方が変わり、大きな街やオフィス街の人は減ったが、商店街・住宅地のスーパーなど人が増えたところもある。ニーズがある場所が変わり、集中から分散へとシフトする中で、我々もそれに合わせて展開していかなければと思っている」(丸川氏)
コロナ共存時代のシェアリングエコノミーの未来については、「全体としては悲観していない」と丸川氏は語る。
「短期的には命を守る行動が必要となり、まだ落ち着くか落ち着かないかといった時点だが、この数カ月でインターネット界隈の状況は、2年分進んだような感覚がある。人々のライフスタイルも変化して、何が本当に大事なのかをみんなが考えている。モノやヒトのシェアで効率的に、かつ、豊かに暮らすのがシェアリングエコノミーの姿だとすれば、根本はITの目指していることと同じだ。みんなの空いた時間に合わせて、多様な生き方を促進させることができるのではないだろうか」(丸川氏)
車通勤で需要増「akippa」では
徹底したコスト見直しも実施
駐車場予約アプリ「akippa(アキッパ)」は、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫、空き地、商業施設など空いているスペースを15分単位、1日単位で駐車場として貸し借りできるマッチングサービスだ。2014年にサービスを開始したakippaは6月現在、駐車場拠点数が累計3万6000、会員数は累計180万人を超えた。
新型コロナ感染症のサービスへの影響について、サービスを運営するakippa代表取締役CEOの金谷元気氏は「通勤需要が大幅に増えた」と述べている。理由は通勤せざるを得ない人たちが、満員電車を避け、車での通勤を選択したことにある。
東京都全体では2月に比べて、4月の緊急事態宣言発令直後の1週間で2.3倍、宣言解除後の5月末には4倍に増加。千代田区・中央区・港区の都心エリアでは、4月には2月の3.5倍だったところが、5月末には約5倍にまで増加した。大阪市北区や福岡市、名古屋市といった、東京以外の都市部でも、2月に比べて増加した地域が多かったそうだ。
通勤需要で「平日の売り上げに恩恵があった」と金谷氏。「今までakippaを使っていなかった人に、駐車場シェアのメリットを感じてもらえて、利用者層が拡大した」と話す。
駐車場スペースを提供するホストの側の登録についても、「個人宅スペースなどの提供が増えている」と金谷氏は言う。