キャピタリストとしてのキャリアへの興味と、ZHD全体での新しい事業にシナジーある領域に行きたいというモチベーションを持つメンバーの移籍がグループ内から増えている今、ZHDグループ、ソフトバンクグループとも「温度感はいい」と堀氏はいう。

「新型コロナの影響で各カンパニー、事業部には業績で大きな影響を受けたところもあって、高い緊張感の中で業績を達成するプレッシャーの中にあります。面白いスタートアップを彼らも常に探している。私たちは毎月、商談の内容や投資した会社、投資を見送った会社のレポートをヤフーの事業部長やカンパニー長にメールで共有していますが、リストを送ると『ちょうどこの領域でこういうスタートアップを探していたが、どこがいいか』『こんな会社あったんですね』と問い合わせが来るんです。そうすると、その領域の会社をリストアップして紹介したり、グループで評価されている企業で我々が投資を見送ろうとしていたところを見直したりできます。こういった活動を私たちは常日頃、ずっとやっています」(堀氏)

堀氏は今回のZピッチについても「CVCであることを最大限打ち出して価値を届け、グループシナジーを作る新しい一手」と位置付ける。海外の超大手ITカンパニー、テンセントとGoogleの投資部門の動きに注目しているという堀氏は、次のように述べている。

「テンセントの投資部門は投資戦略が明解です。『WeChat』のユーザー数を増やせるか、ユーザーの滞在時間を増やして広告や商品のクロスセルを狙えるか、1ユーザーあたりの平均売り上げ(ARPU)を上げることができるか。この指標を取ることにより、ゲームや漫画といったコンテンツだけでなく、フードデリバリーなども投資対象になっていきます。私たちもPayPayやヤフーショッピング、一休、アスクルなどいろいろなサービスがあるので、3本柱にフォーカスはするとしても、テンセントのような投資戦略は非常に向いていると考えます」(堀氏)

またGoogleについては、持株会社のAlphabt傘下のGV(旧Google Ventures)のデータと技術の活用に着目。「保有するビッグデータを投資先に提供する点が彼らの特徴となっています。またGoogleの才能あるエンジニアと連携することで新しいサービス開発を行い、スタートアップの成長をお金だけでなく支援することを謳っている。これもすばらしいことです」(堀氏)