「YJキャピタルから投資ができて、ZHDグループ会社は事業シナジーが得られ、スタートアップは資金が得られて事業提供ができ、業績も上がる。1社でも多くのスタートアップにそういった機会を提供したいので、開催頻度はなるべく上げていこうと思っており、今回も隔週での開催を予定しています」(堀氏)

1回当たりの登壇社数は3〜4社。以前のピッチイベントではテーマ設定や登壇する企業の調整、20〜30人ほど参加するオーディエンスが入れるスペースの確保などが大変だったそうだが、オンライン化でより開催しやすくなったという。

「同じトピックでスタートアップをそろえると聞き手は提携などのイメージがしやすいですが、登壇スタートアップにとっては競合の前でのプレゼンテーションはやりにくい。オンラインであれば、1社ずつ呼んで発表してもらう形もとれますから」(堀氏)

開催頻度を上げることでグループ社内でのプレゼンスも確立できると堀氏はいう。「YJキャピタルが国内スタートアップについてはグループ内で一番詳しい存在であることをZピッチを通じて知ってもらい、登壇企業に限らず『あのスタートアップに会いたい』『あの技術に興味がある』という声を吸い上げたい。同じ社内でも今はオフィスに集まらなくなっているので、情報交換が難しくなっている。定期的に意見交換できれば、フィードバックをもらうことになり、それが次のヒントにもなります」(堀氏)

オンラインの難点として、既存のつながりはさておき、新しいつながりを取り付けにくいということがあるが、Zピッチの開催をきっかけに「若手キャピタリストがグループ社内と接点をつくり、直接対話する機会にもしたい」と堀氏はいう。

YJキャピタルにとってのZピッチ開催メリットについて、堀氏は「1つはキャピタリストに起業家からのインバウンドの問い合わせが増えること。もう1つはVCに声をかけてピッチ参加を呼びかけることで、YJキャピタルに出資して欲しいスタートアップではなくて、ZHDと組みたい投資先を紹介してもらうことができること」と語る。

「いいスタートアップを紹介してもらえて、VC間のネットワークもできる。6年前に試みたけれども続けられなかったピッチイベントをリニューアルする、最大の意義とも言えます」(堀氏)