「そうなれば、起業家はその人の話を聞きたいという気持ちになる。事業アドバイスが聞きたいなら、エンジェル投資家に会いに行けばいいんです。でも、世の中の投資家がすべて事業・起業経験者かというとそうういうわけでもない。アメリカのトップティアのVCでも、起業を経験していない人が独立してキャピタリストとして成功しているというのは、統計的にデータが出ている話です」(堀氏)

かつ、堀氏は「独立系VCにはなく、YJキャピタルにはあるアセットをフル活用するとしたら、例えば『PayPayの中山(一郎)社長を紹介できます』と言えることが強みとしてあります」と述べている。

「社内ネットワークを持つことと、その領域にむちゃくちゃ詳しくなることが、若くて経験のないキャピタリストが短期的に立ち上がれる方法だというのは、苦肉の策で私が思いついたこと。ただ、あえて言えば、投資銀行や証券会社はセクター別にアナリストを抱えているし、プロフェッショナルファームではコンサルティングでも弁護士でも得意となるセクターを持っています。これまでのVCはシード特化などステージ別に投資対象が決まっていましたが、これはマーケットとして未成熟な成長市場だったから。今は成熟段階に入ってきたので、より専門性が求められるのではということは、5年ぐらい前から感じていました」(堀氏)

日本でも海外でも、SNSで目立つキャピタリストに起業家から声をかける例が事実としてある、と堀氏。「若い学生に人気があるVCが大活躍する時代にどう割って入るか。上には輝いているトップキャピタリストがいて、その人たちが死ぬまで世代交代できないというのはキツい。2020年、このマーケットで個人としてどう成功するか、スタートアップ的な考えで行けば、(得意分野で)一点突破してから、経験を広げて活躍していくことになるのではないかと思います。各メンバーには専門性を身に付けるよう、口を酸っぱくして言っています」(堀氏)

CVCとして目指すはテンセント、Googleのハイブリッド版

現在のYJキャピタルには、グループ企業から来たメンバーが多いという。「グループ各事業部が出展してサークル勧誘のようなことをお祭りのようにやる社内フェスがあるんですが、そこで毎年採用しています。4〜5年前に異動してきた人は説明しても『そんな仕事があるんですか?』という反応で、こちらから活躍しそうな人を口説いて誘う感じでした。それが、一昨年前ぐらいから『やりたい』という人が増えてきました。隔世の感があります」(堀氏)