堀氏は「私たちはまだ道半ばのところ」と言いつつ、「こういったテンセントやGVのハイブリッドのようなことを国内でぜひ、しっかりやりたい」と語っている。
LINEとヤフーとの経営統合に関連しての協業については、まだ決まっていないことが多いとして「事業機会の可能性は大きくて高いと思っている」と述べるにとどまったが、「とても可能性を感じているし、一緒にやっていきたい」と堀氏は期待を隠さない。両社の対話は9月に入ってから、少しずつ始まっているとのことだった。
今後のYJキャピタルの方向性については「CVCとして、組織として戦っていく」という堀氏。「2019年まではCVCが乱立し、VCは個人の時代だったが、これからは組織力で戦う時代になっていく。ベンチャー投資業界が成長期から成熟期に入り、これからは組織力を築いたVCが起業家に選ばれる時代になる。危機感を持って、時代に合った活動を展開していく」と語った。
6年前のピッチイベントをリニューアル、VC間ネットワーク構築も
Zピッチに先駆けること5〜6年前。堀氏はスタートアップとヤフーの各事業部との“お見合いピッチ”をクローズドなイベントとして、隔週で開催したことがある。堀氏がピックアップしたスタートアップが、ヤフーの各カンパニーやグループ会社の事業開発部長の前でプレゼンテーションを行うピッチイベントで、社内からは「すごく反響があった」(堀氏)そうだ。
当時のYJキャピタルは4人体制で、堀氏1人がイベント運営に携わっており、手が回らず5〜6回で終わってしまったそうだが、「実際にYJキャピタルで投資が決まったスタートアップや、グループ会社と提携交渉が進んだケースもあり、いいイベントでした」と堀氏は振り返る。
「今は体制が整ったことで、私も中長期戦略が考えられるようになり、もっとグループシナジーを出す活動を増やそうと考えています。営業機会だけでなく、事業開発や事業創造の部分も強化したい。グループ会社と、スタートアップの新しいテクノロジーやビジネスアイデアと一緒に面白いことをやっていこうという環境、アセットが5〜6年前と比べるとはるかに増えました。ピッチイベントを再開するには絶好のタイミングです」(堀氏)
堀氏はヤフーだけでなく、ZHDとしてソフトバンクグループにも声をかけて参加してもらうことで、通信会社としてのソフトバンクとのコンテンツ連携や、法人営業部隊との営業面での連携なども今後期待できると考えている。
Zピッチが対象とする登壇企業は、YJキャピタルの既存投資先だけではなく、まだ投資していないスタートアップも含まれる。堀氏は「Win-Win-Winの関係を作りたい」と語る。