バンダイナムコが挑む「子ども向けYouTube番組」の世界
バンダイナムコは、『機動戦士ガンダム』シリーズをはじめ、ゲームやアニメなどエンターテインメント分野でキャラクターなどのIP(知的財産)戦略を進めてきた。近年、インターネットの発展に伴い、世代間で嗜好が細分化し、キャラクターごとにマーケティング手法が異なっている。
そこで今回、YouTubeと親和性が高い小学校高学年の男子をターゲットにした「ニンジャボックス」で、YouTube番組に初挑戦する。「ニンジャボックス」は、9月26日に発売予定のNintendo Switch用ゲームソフトだ。
「アニメやゲームなどのコンテンツビジネスは数多く手がけてきましたが、新しくIPを立ち上げて、0からYouTube番組をスタートさせるのは初めて。息の長いプロジェクトにしていきたいです」(バンダイナムコ CEアジア事業部・佐竹伸也氏)
しかし、自社でゼロからYouTube番組を育てるのはとても難しい。
「YouTube番組って、ウケるポイントが独特なんです。あえて日常感のある身近な出来事を発信したり、ユーチューバーの素を見せて親近感をもたせたり。テレビを観て育ってきた世代には、つかみにくい世界だと思います」(バンダイナムコ メディア室・冨田功一郎氏)
“YouTubeを観ていない人が番組を作ると失敗する”という定説があるほど、番組制作にはコツが必要だった。そのため、YouTubeのマーケティングに精通するBitStarと組むことを決めた。
「人気ユーチューバーやゲーム実況など、移ろいやすい小学生男子の目線に合わせたアイデアを出してもらえるのが良いですね。特に数値的なKPIは置いていないのですが、目先10年はニンジャボックスというIPを大きく育てていく気概でやっています。まずは子どもたちに楽しんでもらうことが第一です」(冨田氏)
企業がYouTube番組を制作したい理由
これまで広告事業を中心に成長してきたBitStarが、今回コンテンツスタジオを立ち上げるに至ったのには理由がある。
「YouTube番組が次々と量産され、中身がありふれたものになっていくのを目の当たりにしました。視聴者の目はどんどん肥えていくのに、企画のコンセプトから配信までをすべてユーチューバーが行い、質を担保するのは至難の業です」(BitStarの渡邉拓社長)
海外では5年前から、ユーチューバーをサポートするマルチチャンネルネットワーク(以下、MCN)がデジタルスタジオを立ち上げて、コンテンツの制作や配信を同時に行っていくのが主流になっていた。こうしたトレンドもあり、インフルエンサーの活躍できる場をコンテンツ面からも支援することを決めた。