ただし、メルカリは年齢・世代別の利用者数を開示していない。2018年末に発表した流通総額ベースのカテゴリシェアの1位がレディース向けのファッションアイテム、2位がエンタメ関連商品、3位がメンズファッションアイテムという、シニアよりも若者向けの商品の流通が中心であることから、実態としてはまだ若者の利用が中心と考えた方が良さそうだ。
60代以上の利用者、「お金」目的は20代の半分に
フリマアプリを始めた当初の利用目的に関する質問では、60代以上の回答で最も多かったのが「不要品の処分」で、全体の79.6%という結果だった。2位が「欲しいものをお得に購入」で51.7%、3位が「お金を得る」35.0%だった。
これに対して、20代の回答では、「お金を得る」の回答が71.6%で1位となった。これは60代以上の割合の約2倍となる割合だ。次いで2位は「不要品の処分」67.7%、3位が「欲しいものをお得に購入」38.8%となった。また、フリマアプリ利用後の意識変化についての質問では、「社会とのつながりを感じるようになった」と回答した60代以上の利用者は20代の約3倍となった。
アプリ利用のアクティブシニア、資産額や就労意欲も高い結果に
今回の調査には、60代以上のフリマアプリ利用者・非利用者の資産額や就労意欲の違いに関するアンケートも含まれている。
平均資産額では、アプリ利用者が約2500万円、一方の非利用者は約2100万円。アプリ利用者のうち50.0%が「歳を重ねても働き続けたい」と回答する一方、非利用者の回答は38.8%にとどまった。またアプリ利用者は、非利用者と比較して就労意欲が高く、特に「人とのつながりを持つため」という項目ではアプリ利用者(46.6%)と非利用者(37.1%)の差が大きくなった。さらに今後、チャレンジしたいことがあるかどうかという質問についても、アプリ利用者の65.5%が「ある」と回答したのに対して、非利用者は47.6%にとどまる結果となった。
ただしこれらのデータは「(アプリを利用したから資産額が多いといった)因果関係を求めているワケではない」(前野教授)「(インターネット調査であるため)インターネットを使いこなしている人の回答で、リテラシーは高くなっている」(メルカリ執行役員 メルカリジャパンCEOの田面木宏尚氏)との説明があった。
同日開催された記者会見には、譜面台など音楽関連グッズを販売する五味春生さん、つまみ細工を販売する毛利多起子さんという60代以上のアクティブなメルカリ利用者も登壇した。「子どもの頃から得意だったこと(工作)を掘り起こして、完全燃焼して悔いないように生きたい。メルカリは見知らぬ人とつながる『へその緒』のような存在。人の温かさが入ってくる」(五味さん)といった調査結果を裏付けるようなコメントが出た。一方で質疑応答になると、「周囲の同年代には利用者はまだまだ少ない」(五味さん)というコメントもあり、シニア層への認知拡大という課題も垣間見えた。