「中内とはもともと大学時代のクラスメート。インターンも『一緒に起業しよう』という感じではなく『一緒にビジネスのための修行をしよう』くらいの感覚でした。辞めるときも別々です。(インターンを離れて)から、金さん(Candle創業者の金靖征氏)に『Candleで新規事業をやらないか』と2人がそれぞれ声をかけて頂きました。ですが『やる限りは、起業する限りは突き抜けたい』という思いからそれを断り、2人で起業するに至りました」(斎藤氏)

ギフトに特化した商品の並ぶ「TANP」ギフトに特化した商品の並ぶ「TANP」(サイトのスクリーンショット)

父の日のギフト選びから生まれた「TANP」

 最近では「BASE」や「STORES.jp」といった個人や中小企業が利用できるECサイト制作サービスも人気だが、ギフトに特化し、複数の卸業者と取引して成長を続けるEC事業者は多くない。TANPを企画したきっかけは、斎藤氏の実体験だ。

「父親の誕生日プレゼントを買おうとしたとき、最適なECサイトがなかったんです。インターンで経験したメディア事業や、ゲーム事業もこの時期では厳しいと考えていました。だったらECが面白そうと考えていたんです。ただ、今からアパレルをやってZOZOに勝つのは難しいですよね。それに食品は卸の関係もあって厳しそうでした。ではギフトはどうかと考えると、意外と空いているな、まだビッグプレーヤーがいないなと考えたんです」(斎藤氏)

シンプルにユーザーのニーズを捉えて、答えを提供する

 前述のとおりGraciaは売り上げの実数を公開していない。だが、年次での成長率は約4倍と好調だ。これについて斎藤氏は「つまらない答えになりますが、シンプルにユーザーのニーズを捉えて、答えとなるコンテンツを提供できていることが一番大きいと考えています」と説明する。ユーザー向けにはメッセージカードを添える、バラエティ豊富な梱包や商品の名入れといった機能を整えていった。それと同時に、自社でロジスティクスを構築し(毎日の発送は同社のオフィスと倉庫がある東京・五反田のビル内で行っている)、在庫の管理システムも自社開発。在庫管理、商品管理、CRM、発送、売り上げの解析など、業者向けの解析ツールも開発している。こういった取り組みがあり、創業2年未満ながら、有名ブランドを含めた商材の仕入れを実現したという。

「正直なところ、創業期はロジスティクスが大事だとは思ってもいませんでした。ですが、仮説に基づいて、淡々と施策を実施していった結果で数字を伸ばしています。『これをやったから爆伸びした』という施策はありません。1つだけ意識していたのは、『ネットを使ってリアルを変える』ということ。(ECという)ネットの機能だけでは競合と差別化しづらいところはあります。ですがロジスティクスまで自前で作れば、簡単にマネできませんよね」