米国は米国で、もう少し、行き過ぎた資本主義から戻ろう。そういう動きがあるんでしょうか。いわゆる“意識高い系”の人がNPOで活動するようになったりしています。

サイボウズ 取締役副社長 兼 kintone corporation社長の山田理氏山田 理(やまだ・おさむ)/サイボウズ取締役副社長兼kintone corporation社長。1992年日本興業銀行入行。2000年にサイボウズへ転職し、責任者として財務、人事および法務部門を担当し、同社の人事制度・教育研修制度の構築を手がける。2014年からグローバルへの事業拡大を企図し、アメリカ事業本部を新設し、本部長に就任。同時にアメリカに赴任し、現在に至る Photo by Y.I.

 いま情報は、ITを使えば瞬時に世界を駆け巡りますよね。僕がアメリカで実践しているのは、インターネットベース、これを最大限活用するとどういう組織になるんだろう、ということ。ティール組織、僕は「キャンプファイヤー経営」と呼んでいますが、「いいね」が人を動かす。いまだ権限で動かされている人は多いけど、それだと楽しくない訳ですよ。

 (仕組みや権力などに)歯向かっていく。「保育園落ちた日本死ね」という投稿が「いいね」されて、その「いいね」が世の中を動かす。そんなことを目の当たりにする時代です。僕や青野が理想を語って、それをいいと思う人が来る。その子たちが辞めないように様子をうかがおうと考えるのではなく、理想を実現するために一緒に仕事をする。

 ビジョンを語って火をつけて、どれくらい(共感者を)増やしていけるか。マスメディアで広告に100億円突っ込む競合には絶対勝てないわけですから。草の根で、火をつけるのをじっくりやっていきます。

 kintoneの未来の姿というか、僕らの思想は「デモクラシー」なんです。会社の一部の株主、もしくは管理層が権限で支配しているものを開放するということです。

 みんなが幸せになるために作った会社なので、組織も民主化していかに権限を分散させていくのかが大事です。システムも情シス部門がつかさどって、無理やり予算とってみんなに同じものを使わせるのはおかしいわけです。システム費用を払ってくれるのは株主や経営者ですから、そういうトップに都合がよいシステムにしかならない。それを民主化していくのがkintoneです。