PCさえ持っていれば場所を問わずに働けるという仕事のスタイルも増えたことで、日本でも気軽にバンライフを楽しむ“バンライファー”たちが続々と増えている。自分たちの生活を発信するバンライフユーチューバーが現れたり、カルチャー誌でも特集が組まれていたりと、本格的なブームが到来する日は近そうだ。
また、2020年1月24日からは、テレビ東京で車中泊をテーマにしたドラマ「絶メシロード」がスタートした。ごく普通のサラリーマンが週末に車中泊をしながら、絶滅寸前の絶品メシを探して旅をするというストーリー。この主人公同様、平日はオフィスで働く会社員でも週末限定でバンライフを楽しむケースも多い。
このように20代30代の若年層が、自由な生活を求めてバンライフを始めるケースだけでなく、中年層が家族と一緒に楽しんだり、リタイア後の時間に旅をして過ごしたりと、世代問わず人気が高いのも特徴だ。
移動する家“可動産”としての可能性
日本でじわじわと広がりを見せるバンライフムーブメントに目をつけたのが、スタートアップ企業・Carstay(カーステイ)だ。
代表取締役の宮下晃樹氏は、過去に外国人の日本ガイドをするNPO団体を立ち上げ、1000人以上の外国人をガイドした経験から、地方を活性化できるサービスを作りたいと考え、2018年6月にCarstayを起業した。2019年4月に、ライフタイムベンチャーズ及び原田大作氏(メルカリの新規事業責任者)から約3000万円の資金調達を実施している。
車を「不動産ならぬ“可動産”のプラットフォームとして考えている」という宮下氏。2019年1月に、全国各地に点在する駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットと、滞在先を探す旅行者をマッチングするサービス「Carstay」をリリースした。バンライファーが土地の管理者・所有者に滞在費を支払うことで、スポットに宿泊・滞在ができるというものだ。
また、昨年4月から日本だけでなく訪日外国人もターゲットにした多言語バンライフメディア「VANLIFE JAPAN」を立ち上げた。さらに、2020年2月には車中泊可能な車を持っているユーザーが共用(バンシェア)できるサービス「VAN SHARING」も開始予定だ。今後は、バンライフ向けにカスタマイズした自動車が投資の対象となる“可動産取引”が成り立つ未来まで見据えている。
「時間もお金もかけずに拠点を増やせるバンライフ。多様な働き方や自動運転が浸透すれば、想像以上に広がると考えています。使い方次第で、動くオフィスにも移動型コミュニティにもなるでしょう。空きスペースができてしまうリスクもないので、民泊ならぬ、“バン泊”マーケットが来ると思っています」(宮下氏)