米良 はい、私がイメージしていた世界は、応援される人と応援する人に分かれるのではなく、自分が挑戦したいときは誰かが応援してくれて、誰かが挑戦したいときは自分が応援するといった、誰もが立場を入れ替えられるネットワークでした。
徳力 なぜそう思われたのでしょうか。そこに、ミレニアル世代を理解するためのヒントがあるように思います。中古品の買い取り事業「CASH(キャッシュ)」で有名なバンクの光本勇介さんは、“性善説”という言葉を使っていましたが、これまでの会社のサービスは、どちらかと言えば、サービスを悪用する人がいる“性悪説”を前提につくられていました。
「READYFOR」も性善説に近い感覚を感じます。米良さんは、なぜチャレンジする人を応援したい人が数多く存在すると信じられたのですか。
米良 難しい質問ですね。ただ、インターネットがなかった時代は、物理的に離れてしまった人とつながり続けるのは困難でしたよね。でも現在は、例えばFacebookで一度つながれれば、いつでも連絡がとれますし、ずっとつながり続けられます。
複数のコミュニティに囲まれて生きていける環境なので、何かを始めようとしたら誰かが協力してくれるだろう、という感覚が根底にあったのかもしれません。
徳力 なるほど、それは大事なポイントですね。ソーシャルメディアが普及したからこそ、人を信じられるようになったわけですね。米良さん自身も、誰かに手を差し伸べられたという経験があったのでしょうか。
米良 そうだと思います。何か新しいチャレンジをしたいと誰かに相談したら、「それならば、この人を紹介してあげるよ」とメッセンジャーなどで簡単につなげてもらうことができます。
ソーシャルメディアを通じて一度で出会った人と、緩くつながり続けていくことで、自分が何かにチャレンジしたときに誰かが味方をしてくれるはずだ、という感覚がどんどん強くなっていると感じています。