他人をうらやむばかりでは
自分らしくなれない
先天性の疾患や障害のある人もいます。戦争や災害などを含め、生活環境が必ずしも恵まれない人もいます。ウェルビーイングの定義としてしばしば使われる“身体的、精神的、社会的に満たされた状態”全てを現実的に体現できない人も、多くいるかもしれません。
病気や障害や困難な生活環境があっても、その人なりの健やかな生き方は必ずあるはずですし、社会全体がそれを支えられる状態であるべきだと思います。そういったことも踏まえて、私は「ウェルビーイング=自分らしく生きること」ととらえています。
幸福学の研究者である慶応大学の前野隆司先生は、以下の「幸せの四つの因子」が重要であるとしています。
①「やってみよう」因子
②「ありがとう」因子
③「なんとかなる」因子
④「ありのままに」因子
① の「やってみよう」因子は、「主体性」にかかわる因子で、夢や目標に向かって、「やってみよう!」と主体的に努力を続けられる人は、なにも行動を起こさない人よりも幸せになれるそうです。
② の「ありがとう」因子は、「つながり」にかかわる因子で、社会のなかで生きている我々は、人とのつながりのなかで幸せを感じます。多様なつながりや、利他性(他人のために貢献したい気持ち)が強い人ほど幸せを味わえることがさまざまな研究結果でわかっています。そんな他者とのつながりをつくるうえで欠かせないのが、「ありがとう」といえる感謝の心とのことです。
③ の「なんとかなる」因子は、「ポジティブに考える」ことで、つねに「なんとかなる!」と考えていれば、必要以上に挑戦を恐れることなく、行動に踏み出しやすくなります。
④ の「ありのままに」因子は、自分に集中し、いわば「本当の自分らしさ」を探して向き合うことです。常に人と自分を比べて他人をうらやんでいては、いつまでたっても幸せを感じることはできません。