トラブルになりやすい隣地との境界線

 土地を売却する際は、隣地所有者との間で境界線を明確にしておかなければなりません。隣家と境界線の認識にズレがあると、戸建てや土地を売却する際にトラブルになりがちです。近年では境界の点や線の位置を明示する境界標の設置が一般化していますが、ひと昔前は塀やブロックなどの工作物で所有地を示すというやり方でした。

 もっと昔は「お互いさま」の精神で特に取り決めをせず、なんとなくの境界線しかなかったこともありました。しかし、こうした曖昧さがのちのち火種となり、スムーズに売却することができなかったり、相手の言い分を受け入れざるを得なかったり、後味の悪いトラブルに発展しやすいのです。

 境界線の確定は相続後に行うこともできますが、できれば親御さんが健在のうちに明確にしておきましょう。親世代同士であれば“長年のつき合い”で穏便に進むことも、事情がわからない子世代同士だとお互い半信半疑になってしまうからです。

 また、すでに隣が空き家だったり、所有者が不明だったりすることもあります。このような場合、手続きに非常に時間がかかるので、早めの対策をおすすめします。

 土地の確定測量には50万円から80万円、場合によっては100万円程度の費用がかかります。この費用も本来なら親が負担すべきです。きちんと境界線を確定しておき、売却には書類を提出するだけという状態にしてこそ、「喜ばれる遺産」となります。