年末年始に病院や診療所に行くと
初診料に上乗せされる「休日加算」とは
日本の医療制度は、公的な医療保険(健康保険)で運営されている。国籍に関係なく、この国で暮らすすべての人に健康保険に加入することを義務づけ、誰もが健康保険を使って、必要な医療を受けられる体制を構築している。
そして、貧富の差に関係なく、平等に医療を受けられるようにするために、健康保険を使って受ける医療サービスや医薬品の価格は、国が決めた公定価格となっている。同じ診療内容なら、全国どこの医療機関でも、同一の料金で必要な医療を受けられるようになっているのだ。
健康保険を使って受ける医療の価格は、「診療報酬」と呼ばれており、病院や診療所、歯科診療所、薬局などで行われる検査や手術、投薬、調剤など、すべての診療行為について、ひとつひとつ価格が決められている。
この診療報酬は点数で表示されており、1点当たり10円を掛けたものが実際の医療費だ。
たとえば、医師に自宅等まで来てもらうための「往診料」は720点なので、【720点×10円=7280円】が、往診にかかる医療費になる。患者が自己負担するのは、年齢や所得に応じて、このうちの1~3割だ。70歳未満の人の場合は、3割の2160円(10円未満は四捨五入)を自己負担する。
さらに、診療報酬は、患者の年齢、医療機関の規模や設備、医療スタッフの人数、受診した時間帯などによって、基本の料金に「加算」が上乗せされることがある。
たとえば、自分で意思表示が可能な大人に比べて、小児の診療には特別な技術が必要で手間もかかるので、6歳未満の小児の治療をする場合は「乳幼児加算」が医療機関に支払われる。また、たくさんスタッフをそろえている病院は人件費もかかるため、看護師の人数に応じて入院基本料が変わったりする。
こうした加算のひとつが、年末年始などの休日に受診した場合に、初診料に上乗せされる「休日加算」だ。
当然のことながら、加算部分についても、患者は年齢や所得に応じて自己負担することになる。そのため、加算が増えれば増えるほど、患者が支払う医療費の自己負担分にも影響が出てくる。