就業不能保険の書類と給料袋写真はイメージです Photo:PIXTA

病気やケガで働けなくなったときのために、就業不能保険加入を考える人も多いだろう。だが、実はあなたが入っている健康保険で、同様の補償が受けられるようになっているのをご存じだろうか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第267回では、意外と知られていない健康保険の「傷病手当金」について詳しく取り上げる。(フリーライター 早川幸子)

病気やケガで仕事を休んでも
傷病手当金で所得補償してもらえる

 もしも、あなたが、公的な医療保険(健康保険)で受けられる給付が、「医療費が3割になることだけ」だと思っているとしたら、それは大きな間違いだ。

 健康保険には、医療費の自己負担が3割になる「療養の給付」のほかに、「医療費が高額になった」「出産した」「治療が長引いた」など、病気やケガによるさまざまな経済的リスクをカバーする給付が用意されているのだ。その中でも、覚えておきたいのが「傷病手当金」だ。

 これは、会社員や公務員など、雇用されて働く労働者(被用者)のための健康保険に備わっている給付のひとつで、療養中の所得を補償してくれる制度だ。この給付のおかげで、会社員や公務員などは、病気やケガで仕事を休んでも、すぐに収入がなくなるという心配はない。だが、その存在を知らない人は案外多いのだ。

 そこで、今回は、傷病手当金の給付内容を確認した上で、民間の保険に入る場合の注意点について考えてみたい。

●業務外のケガ・病気で連続して3日間休んだ後4日以上仕事ができない状態であり、休業中に勤務先からの給与の支払いを止められたり減額されたりしていれば傷病手当金の給付対象になる
●月収の3分の2程度の傷病手当金が、最大で通算1年6カ月分支給される