また地震発生直後から、今回の地震を「人工地震」とし、その「証拠」として画像や動画付きの投稿をアップするアカウントが複数確認されている。震災を「人工地震」だとする陰謀論は今回に限った話ではないが、たまたま今回の地震が元旦であったことで人為的であるという見立てに信憑性を感じてしまう人もいるのかもしれない。

 NHKは1月2日夜に「SNSで“人工地震が原因”など不安あおる偽情報投稿 拡散」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240102/k10014307161000.html)といった報道を行い、専門家によるコメント「マグニチュードからみても人間が作り出せるエネルギー量ではない。人工地震ではないと断言できる」を紹介。「安易に拡散すると被災地での救助活動や避難の際に混乱が起きる恐れもあるため、冷静な対応が必要」と呼びかけている。

「一部の人だけが信じるこのようなトンデモは放っておけばいい」という意見も数年前まではあったが、近年SNSによってその拡散具合が目に見える形になった。多いものは数万回再投稿され、インプレッション数も数百万回を超える。根拠のない陰謀論を少なくない数の人が信じ込んでしまうことの弊害を、考えざるを得ない状況になっている。

13年前のデマとの違いは?
東日本大震災を振り返る

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の際も、インターネットやSNS上でのデマはあった。しかし、SNSの普及率は今よりも低かった。

 たとえば、日本語版ツイッター(現X)は2008年のリリースで、2010年に国内利用者数が1000万人を超えたものの、今よりも個々の投稿の拡散数は少なかった。

 その利用者数が増えたのは他でもない東日本大震災からで、情報発信・収集のために使い始める人が増えた。企業や省庁がツイッターで情報発信を始めたのも2011年頃からが多かったようだ。その後、利用者数は順調に伸び続け、2017年には4500万人を超えた。(※)

 東日本大震災時にもデマはあったが、そのSNSでの拡散の仕方は今とはまったく違うといっていいだろう。当時ツイッターを使っていた人ならばわかるだろうが、2011年の頃はまだ今ほど拡散数を競い合う風潮はなかった。有名人の投稿でも数万件再投稿されるような投稿はほとんどなかったのだ。