菅前首相が訴える派閥解消論、その先に続く「地雷原」とは1月11日、自民党「政治刷新本部」の初会合後、記者団の取材に応じる前首相で最高顧問に就任した菅義偉 Photo:JIJI

「今のままではとても衆院選挙はやれない。有権者は期待感で投票する。自民党は変わったというイメージが生まれないと駄目だ」

 長く自民党の選挙対策を担ってきた党幹部は強い危機感を募らせる。派閥主催の政治資金パーティーを巡る裏金問題で大きく揺れる自民党に対する国民の目は極めて厳しいからだ。共同通信が実施した直近の世論調査でも、約87%が政治資金規正法の改正による厳格化や厳罰化を求めている。その一方で、自民党の対応については「期待しない」が75%に達した。

 ところが首相の岸田文雄の肝いりで発足した「政治刷新本部」は迷走したまま。自民党の若手議員からも疑問の声が上がった。

「刷新といっても何を刷新させるのかのメッセージがない」(非主流派の閣僚経験者)

 それを象徴するのが2人の刷新本部最高顧問だろう。党副総裁の麻生太郎(83)と前首相の菅義偉(75)。麻生は党内第2派閥の会長。ましてや最大派閥の安倍派が機能停止状態にあり、岸田に対して最も影響力を持つ政治家といえる。第3派閥の茂木派を率いる幹事長の茂木敏充とも利害関係が一致する。このため、両者は刷新本部の立ち上げ自体に極めて消極的だったとされる。