古い家を蘇らせるのに必要なのは、「民衆の力」だと僕は思っています。地方に行くと、シャッター商店街があちこちに見られます。でも、そのシャッター通りに何か魅力的な場所をつくれば、それを好きな人たちが集まってきます。

 例えば、富山県の滑川市に、昔は北前船がさかんにやってきて栄えていた場所があります。そこが廃れてしまったあとで、地元の酒蔵の方が「この通りを復活させる」と言って、自腹を切って一部の建物を購入して改装し、アーティストを招いて活動させるという取り組みをしました。昔でいえば芸術家のパトロンのようなことをされたんですね。

 すると、そのアーティストを好きな人たちが集まるようになりました。集まってくるお客さまのためにおしゃれなカフェもできました。人々が集まり出したのです。

 これからは、いかに好きな人たちが好きな環境で一緒にいられる場所になるかというのが、新しいまちづくりだろうと思います。街として何をするのか、という個性を尖らせるのが一番大切なのです。

新しいコミュニティの場として活用
サードプレイスとして復活した空き家

「古民家で生きていく」「セカンドハウスを持ち、デュアルライフができる街」など、独自の魅力をアピールすることで、その街の空き家は息を吹き返します。

 地方によっては、不動産屋がないところもあります。そんなときは、行政に相談した方が情報を集められます。僕の方から行政にお声がけをした例をご紹介しましょう。お笑いコンビ「シャンプーハット」のてつじさんがその人です。

 てつじさんは、日本酒を造る活動をしていました。旨い日本酒ができたら、飲み会ですよね。そこで僕は、「てつじさん、一から日本酒を造っているなら、できあがったお酒をみんなで飲む場所を一緒につくりませんか?」とお誘いしたのです。

 てつじさんも、家でも職場でもない3つ目の場所、サードプレイスをつくろう!と共感。みんながそれぞれの持ち味を活かせる場所づくりが動き始めたのです。