JR西日本はかねて、「社会の受容性を満たさなければ社会実装はできない」と繰り返してきた。技術的な課題をすべてクリアしても、利用者に不安を抱かせるようでは公共交通手段として成り立たない。実際に「乗客」を乗せて運転することで、市民の理解・期待と社会受容性を探ろうというわけだ。
後続バスに運転手が乗務しない
「レベル4自動運転」を目指す
まずは実証実験の内容を紹介しておこう。自動運転・隊列走行BRTは「人口減少時代にも持続可能な、地域ニーズに適した鉄道・交通システム」としてJR西日本が開発中の新しい交通機関だ。
将来的には先頭車両は運転手が乗務した上で全ての運転操作をシステムが行う「レベル3自動運転」で走行し、後続のバスは運転手が乗務しない「レベル4自動運転」を目指す。ただし、レベル3以上の自動運転はシステムが運転操作の責任を負うことになり、特別な認可が必要になる。そのため今回の実証実験は運転手が主体となる「レベル2自動運転」の扱いで行われるが、機能自体はレベル3に対応したものだ。
走行の原理は道路上に設定した「目標走行軌跡」に沿って、GNSS(GPSや準天頂衛星システム「みちびき」などの全地球航法衛星システム)から測位した位置情報をもとに走行する。前方車両との距離の測定は、レーザー光の反射光をセンサーでとらえる「LiDAR」や、ステレオカメラを使用し、適切な速度、車間距離を保つ。