自動運転・隊列走行BRTに
過度な期待は禁物
各国で開発が進む自家用車の自動運転では、ありとあらゆる状況を想定し、対応できるようにしなければならないが、結果的に開発が難航し、思うように進んでいない。JR西日本は「無人でもバンバン走る未来がすぐに来るわけではない」として、あくまでも早期の実用化を優先し、あえて走行環境・機能を限定する判断をした。
ただ運転操作に関してはほとんど完成の域にあり、上記のような特定の場面を除けば、手動運転と自動運転の違いは意識しても分からないレベル。一般人を乗せた公道試験走行には、万が一、ケガ人が出れば実用化が遠のきかねないリスクがあるが、それだけの自信と覚悟があるからこそできるというもの。
とはいえ自動運転・隊列走行BRTに過度な期待は禁物だ。前述の通り、導入にはバス専用・優先レーンが設定可能な幹線道路があること、直線的なルート設定が可能なことなどの制約があり、自由自在に走行可能な自動運転ではない。あくまで隊列走行による路線バス以上鉄道未満の輸送力を必要とする区間に適合するシステムであり、ローカル線の置き換えを念頭に置いたものではない。
また、開発目的の中心にはドライバー不足への対応があるが、レベル3自動運転はシステムの動作が不可能な場合、即座に運転手が運転を引き受けなければならないため、結局は大型二種免許を持った運転手が乗務しなければならない。万能薬というわけにはいかないのが現実だ。
しかし、レベル4自動運転による隊列走行は、1人の運転手でバス2台・3台分の輸送力を可能にする。運転手は運行本数が最も多いラッシュ時間帯を基準に確保しなければならないが、朝は隊列、日中は単車で走行すれば、必要最小限の人員と経費で運行が可能になる。
今回の実証実験の結果は4月に取りまとめられる予定だが、2020年代半ばの実用化を目指して実験は今後も続く。来年度は運賃の収受や乗客の乗降、障害者の介助など、営業運行を前提としたオペレーション面の検証が中心になっていくという。
最大のハードルである「社会受容性」をクリアできるのか。まずは試乗した市民の反応が楽しみである。