地政学リスクが大きくなり
紛争リスクも本格化

 三番目が、中国とアメリカのデカップリング(分断)です。これも現時点では熊本や千歳に半導体工場が建設されるなど日本経済にプラスの要素はあるのですが、当然のことながら日本経済の重要な取引先である中国市場との関係が悪化するのは、マイナス要因の方が大きいわけです。

 悪いことに、今年から来年にかけて中国経済は不動産バブル崩壊の影響で非常に苦しい状況に陥ると予測されています。最悪の時期であるがゆえにトランプ新大統領は自信をもって中国たたきに出る可能性が高くなります。

 その反作用で仮にグローバルサウスが中国寄りに動いたとしたら、日本がアメリカに追随することで日本は中国市場だけでなく、グローバルサウス市場でも立ち回りにくくなるという事態も想定しなければいけないでしょう。

 そしてこれらのリスクを組み合わせると、四番目のリスクが浮かび上がります。トランプ新大統領誕生で、地政学リスクははるかに大きくなるのです。

 これらの三つの変化によって、国同士の力関係が変化するのもリスクですが、それに加えて新たに高まる別の紛争リスクを考える必要が出てきます。

 わかりやすい例を一つ挙げれば、イスラエルとアメリカの関係性が変わることで、イランをはじめとする中東諸国がイスラエルとハマス(あるいはパレスチナ)との戦争に参戦しやすくなる可能性があります。当然のことながら、もしそうなれば新たな中東戦争が勃発し、新たなオイルショックが起きる危険性が高まります。