直近(2023年9月末)の国内銀行
流動性預金の13年3月末比増加率
物価目標を超えるインフレや緩やかな景気回復により、異次元緩和からの出口を巡る日本銀行の発信も増え、ようやく「金利のある世界」が見通せるようになった。収益への下押し圧力を受け続けてきた銀行からは、預金で稼げる時代の再来を期待する声が聞こえてくる。
異次元緩和開始後約10年で国内銀行の預金は全体で325兆円増えた。定期性預金は減ったものの、流動性預金が増加率99.8%と大幅に伸びたことによる。
今後は反動もあり得るが、気になるのは粘着的な預金の動向だ。昨年3月の米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻で、預金の粘着性が低いと預金の瞬時の大量流出を回避できず、資金流動性の安定性維持が難しいことが明らかになったからだ。